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フェアウェル さらば,哀しみのスパイ (2009/仏) 70点

2010-09-15 15:51:13 | 映画遍歴
最近のCMでしたか、「あなたは国家のために死ねますか?」というインタビューがある。この映画を見ていて常にそのことを考えていました。勿論、CMではほとんど否定するのだが、一人だけ初老の人だが、家族のためならそうするかもしれないと言ってる。

この映画の主人公は息子に明るい国家を見せたいがためにスパイ行為を続けている。だから通常よく行われる金銭の授受は全くない。不思議と思う人もいるかもしれないが、日本でもゾルゲ事件などスパイ事件の関係者は、ほとんどみな明るい国家を夢見て正義感を持ってスパイ活動をしていたらしい。

そんなまともな人間を、国家という組織は利用するだけ利用して、挙句の果てはポイ捨てするのだ。それは自由国家アメリカ、フランスと言えど、全く同様なのだ。

結果としてはそんな悲しい、一人の男の視点からこの作品を見てみると、いくら国が崩壊して国家体制が変わろうと、彼の家族は国家から迫害されたであろうし、自由を夢見て、理想の国家を作ろうなんてことは自分のいる時代じゃ出来っこないと思わないといけないのだろうなあ。

でも、話を元に戻すが、戦時中の国民は国のため(天皇陛下のため)に命を投げ出したのだ。そういう意味ではこの主人公は、心情的には当時の日本人と通じ合うところがあるのかもしれない。

と、考えていたら主人公の処刑シーンがあり、右下の字幕「Farewell」でこの映画は終わる。あまりに淡々としていたので、感動作にまで至らなかったのはちょっともったいないかなとも思う。スパイを演じていた【エミール・クストリッツァ】は風貌と言い、情感をむき出しにすることなく、スパイ役をさらりと良く演じていたと思う。

でも全体にねっちりしたところがないのもこの映画の特徴で、少々盛り上がりに欠けた。これが事実だということが一番印象に残ってしまうが、、。

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