セントの映画・小演劇 150本

観賞数 2025年 映画 04本、 演劇 01本

蝉かえる(櫻田 智也)(2020 東京創元社) 85点

2021-02-08 18:21:40 | 読書遍歴

短編5編だけど最近読んだ本では断トツに素晴らしい。何がって、ミステリーの形式を取ってはいるが、そこに描かれているのは人間の透明感に漂うやさしさ・哀しさ・いとしさである。

最近、ミステリーでも、あり得ない話を基本的にストーリーとして描いていくような作品が多いが、(例えば、不死の人間が出たりするような)ああいうのは、何とも慣れないのであります。

この作品のような実際生きている人たちの営みを、たとえ目立たなくともしっかり描いている本はやはりいい。これは文学の醍醐味ではないのか。ミステリーでこれを感じられるのは稀有だと思う。

文章も読みやすく、そのうちに謎が解明してゆくプロセスもすこぶる心地よい。好きな作家を見つけました。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 天国にちがいない (2019/仏=... | トップ | 衣更月家の一族(2012  原書... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書遍歴」カテゴリの最新記事