一生に一度は本屋をしてみたいと考える人も多いであろう。私もその部類。いや、この老体になった今でもますますその気持が募る。そんな一人の中年女性が亡き夫との二人だけの希望を灯し出す本屋経営だったが、思わぬ村社会での逆流に遭遇する。
想像していたほど安らぎを感じる映画ではなかったが、何か書物を読んでいる感覚がずっと続き、意外と落ちつける作品となっている。
しかし、ストーリーの本流はいじめの本質に近く、美しい作品では決してない。むしろラストにアッと驚くし過激な仕掛けが凝らしてあり、読書なんてものではなく、やはり映画に潜むナイフがあると気づくのである。
全体的には対立という人間同士のどうしようもないものが底流に流れており、これは現実的に実際今の現代においても社会の基本となっている代物だと思われる。そういう人間不信が残滓となって心に残る佳作である。
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