ハリウッドの赤狩りの実態を真正面から描いた力作ですね。共産主義者というレッテルを隠すことなく、正々堂々と生きた彼の人生は我らに勇気を与えてくれる。
もうホンを書くことが好きで好きで仕方がないんでしょうなあ。脳裏をいろんなストーリーが駆け巡り充満してる。それを取り出すのに大変、という感じかなあ。そんな天才ライターだけど常に彼を支えてくれていたのは妻であり、家族であったというある意味深いファミリー映画でもあります。
仕事(自分)のために家族たちをも犠牲にしかけた彼の行動は、ライターだけでなく我が猛烈サラリーマン時代を思い起こしてしまい、ぐっと胸に迫る。そんな普遍性を持った映画でもあるんですな。
一方、政治と芸術といった重要なテーマに対して、トランボが自らの才能に任せて映画界に君臨していく様子は、ずっと映画を見てきた吾輩に爽快な疾風を与えてくれます。芸術は政治に左右されてはいけないのだ。特に今だからこそ強く考えます。
でも僕の好きな、かの名作「ジョニーは戦場へ行った」が一言も触れられないのはどうしてなんでしょうか。この作品はカンヌでも栄誉となり、当時のベスト1映画でもありました。監督までしてるんですよ。でも当時、ハリウッドでもアカデミー賞とは無縁でしたが、、。
観ていてカーク・ダグラスとオットー・プレミンジャーの勇気には感動させられる。これは知りませんでした。タレこみをした名匠エリア・カザンがカーク・ダグラス主演で「アレンジメント」を撮った両者の胸の内はいかがなものだったのか、なんて今になって気になってきた吾輩であります。秀作です。
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