久々に仕事を終えて駆けつけて見る演劇。場所は西宮。時間に余裕がないので劇場に入る時はぎりぎりで、近くでカレー店CoCo壱に寄り、急遽腹ごしらえをした。
ぎりぎり開演に間に合った久しぶりのメジャー演劇。しかも一番前の席でこれ以上の幸せはない。期待は膨らむ。午後7時ちょうどに劇は始まった。普通は10分ほど遅らせて始まるのが通常だが、きっちりの始まりにまず驚く。(メジャーはそうだったかなあ?)
ストーリーはは伝染病が発生し、地球上で7人しか残っていない普通の人間たちの新たな再生の物語だ。
こんな設定、映画じゃ嘘っぽくて見られないが、演劇はお得意のはず。と、期待を上回る出来で熱く燃え、100分間本当に楽しく、笑い、哀しく、そしてみんな人間は年齢、階層、性別に関係なく貪欲で可愛いイキモノなんだなあと認識させられた。うまいねえ。
7人の役者がみんな見事に自分の仕事をやってのけて、脚本も7人をそれぞれ掘り下げて書くことに成功しており、密度の高い100分であった。これだったら7500円、決して高くない。もう一度見てもいいかな、と思える演劇でした。
役者では西村雅彦の朗々たるセリフ回しが立派で芯を固めている。彼がいるため、他の役者陣も自由に楽な演技っぷリ。永井大が意外と(と言っちゃあ失礼か)素直な演技で(声が通り)これまた舞台を締めている。(憎たらしいほど脚が長くカッコイイ。)演技的にも人間の明暗をうまく表現している。
女優陣高橋ひとみ、大塚千弘のお二人ももう立派でうまい。この世で残るにはという人類観からすると女性の存在は重要なテーマだが、重くならずやらしくならず、すこぶる秀逸。可愛く、のぶとく、これ以上のない出来。
岡田義徳が今回はおとぼけ役で化ける。この役者は何でもできるのう。本作では舞台で彼も言っていたが、余裕の演技っぷりを見る。ラスト近く西村が自分の苦悩を独白する際、後ろで待機する演技は彼が一番ユニークだった。表情がいい。舞台が大きくなる。
浅利陽介、片桐 仁ももちろん個性的で言うところなし。浅利さんは思ったより小さかったです。何かチャップリンに似た容貌でこれからももっと伸びるんだろうなあと思わせました。片桐さんは初めてでしたが、でも凄味のある大きな演技で素晴らしかった。
びっくりしたのは、冒頭からカレーが出てきて、しかも最後は僕の目の前でみんながカレーを食べるシーンがあったこと。臭いまで漂って来て僕の胃はまだカレーが詰まっており少々げんなりするも、いかにも楽しい素晴らしい演劇でした。いい秋の夜長だった。
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