Nyanでの公演は今まで何度か来たが、いつも秀作が多い。たまたまかもしれないが、ここの劇場で演劇をする劇団は、①狭いこと、②観客との距離が接近していること、③2階もうまく使えば空間が広がる、などを利用して精一杯、劇を創っているからではないか、と勝手に思っている。
今回は3個のオムニバス劇である。
最初は16歳で劇を始め、今回7年ぶりに2回目の公演をするまでの彼らの経緯を劇にしている。私小説風劇でもある。演じている役者さんたちほ実に楽しいだろうなあと思う。レビューも楽しく、あっという間に終わる。
2つ目はあの世に行けない死者と現世に生きてる生者との二人劇。これが面白い。いい。この世に漂う死者は自分が何者であるのか分からないからか、本当の意味で死に切れない。苦しいのだと言う。生者は気持ち悪がりながらも、死者を思いやる。
そしてやっと一曲の音楽を通して、自分が何だったのか分かるようになり、この世からそっと離れてゆく。
面白いね。死んでも、自分が何者か分からない間は、成仏できないという。不思議でもあり、しかし深い物語であった。中世の仏教説話を現代によみがえらせた感もする。秀作。
3つ目は、一つの作品を作る苦しみ、喜びを描いたいわば演劇版8・1/2である。これは演劇を志す人は誰もが描きたがる題材である。面白いけれど、もうちょっと内面に入って行ってほしかったかなといった感もした。観客は作家の内面もじっくり知りたいのである。
ということで、楽しい90分。実にいい時間であった。
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