結局「かもめ食堂」の荻上なんだよね、と言われ続け奮起、17年ぶり、荻上が本気で力を込めて作った作品なんだと思います。今までの作品とのイメージの違いにおののきます。なんたって、ブラックグラデーションの波紋なんだから、、。
この映画って、夫婦の嫌なところ、その微妙な空気感が鋭く描かれています。この手法は女性映画って言ってもいいのではないかと思います。あくまで長年夫婦におさまっている絶え絶えの吐息のような心の声が主人公です。
夫の不意の失踪から、新興宗教にのめり込む妻。その妻の新たな世界はまさに現代のブラックユーモアに思えてくる。心を開けると思ったスーパーの同僚、そのブラックな闇の世界。夫の主治医のその怪しげな治療法。などなど、彼女の周囲は彼女の心模様が織り成すまさにブラックな仮想宇宙空間が膨張する。
だから夫の死により解放されたかのように思えた彼女は雨の中喪服のままでタンゴを踊り狂う。夫源病なんて病名を発明した日本だからこそ理解できるかのような女性映画だ。
長年夫たる私には不愉快な映画だが、だからと言って何をか言わん、、。
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