昔見た「シベールの日曜日」を思い起こさせる設定にこの映画の深さを知る。痛い映画ではあるが、人生における旅のはかなさ、よろこび、永遠というものを感じ取れる秀作であります。
とにかく二人であのトラックで旅に出てからがすごくいいんだよね。もう家族なんて、雑音程度にしか見えなくなってくる。このままいつまでも二人きりであの旅を続けることができればどんなに至福であることか、見ている僕ももう完全に映像の二人の気持に溶け込んでしまっている。
この映画で、印象に残るシーンがあります。
ある店舗でセリーヌがテレビで大きく報道されているのを見るピーター。けれど彼は表情を変えない。
トラックの後部を切り離して置いていき、身軽になったかのように出発するシーン。
カフェでトラックに同乗したいという青年が現れ、セリーヌの要望もありピーターは快く受け入れる。相変わらず表情は変えない。
警察でピーターがセリーヌの父親をなめるように見つめるシーン。
このように心情的にはセリーヌよりピーターに重きをなしていることに気づかされる。そしてピーターの不幸でそれはピークを迎える。
なぜピーターは自死したか。
それはもうこんな至福の時は永遠に来ないと知っていることもあるが、自分が死ぬことでセリーヌの秘密を守ろうとしたのではなかったか。なぜかそういう気がします。
一つだけ意見です。ラストのセリーヌが成人してからのモノローグは必要なかったのではないかと思います。それは、言われなくとも分ります、よね。
でも、ひさしぶりのいい映画だったなあ。でも館内は4,5人程度でした。
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