
470ページもの長編だが、読みやすいし、説得力のある書きぶりで、長いのは気にならない。作者の思い入れも強く感じられる内容でもある。
途中ですべてが分かってしまうしまう展開で、ミステリーの醍醐味は味わえないが、冒頭から全容を秘匿している誘拐事件の顛末はやはり何とも言えないほど後味が悪い。貫井もこの作品を集大成と言っているようだが、こんな話にするなんて、彼もかなり悪い性格だというような気もする。
ラストの変な明るさはバランス的には認められるが、人間のしたことを考えるに、甘すぎる終わりであると思う。登場人物、全員救われないでいいのではないか、それほどの事件を起こしてしまったのであることは事実である。
とは言え、久しぶりに読み応えのある本であった。
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