何かあの僕の好きな初期の「復讐もの」に少し戻ってくれたようなチャヌクの新作である。全体のタッチが熟成しており流麗。音楽もガンガン鳴り響き、あの浮世絵画集の美術もとてもよくできていて、気持ちがそそられる。
話も、ぶっ飛んだような映画の世界に耽溺できる、キワモノすれすれの感覚は映画的にも優れています。北斎の水槽の大蛸まで出てきて、こちとら笑っちゃいました。チャヌク、意外と日本通なんだ。
ところで、肝心のストーリーには全然言及してませんな。
一部の終わりなんてあまりの展開なので度肝を抜かれました。これはチャヌクの計算ですな。面白い。ぐんぐん画面に気持ちが入ります。
あの女性たちの愛の姿態は、何か新しい宣戦布告を見せられたようで、ドキッとしました。そしてあの叔父の猟奇的趣味にも結構ゾクゾクさせられます。
この作品は映画館で一人きりの世界に入り込み、チャヌクの世界にどっぷり漬かったときに感じる映画的エクスタシーさえ感じましたね。
やはり映画ってまだまだ可能性がある面白い芸術です。それを認識する。
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