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トゥヤーの結婚 (2006/中国)(ワン・チュアンアン) 80点

2008-05-22 15:48:34 | 映画遍歴
モンゴルの映画であることぐらいの知識しかないままこの映画を見たが、なかなかどうしてしっかりと骨格のある見事な映画であった。

冒頭の子供同士の喧嘩、父親が二人いてと近所の子供に揶揄されて喧嘩する男の子とそれを止めに入る母親、そして静かにテントに入り流す母親の涙。何か、母親が淫らなのかな、とそんな勘繰りを馬鹿馬鹿しくしてしまった我輩でありましたが、その理由はラストまで封印されることになる。そんな、構成もダイナミックで感心しました。

恐らく見合いのような結婚であったろうトゥヤーの夫は半身不随であり、トゥヤーとは親ほど年齢が離れているように見える。トゥヤー自身も腰に爆弾を持っており、いつ半身不随になるか分からない身体だ。彼女の選択は夫付きの結婚という随分身勝手なオファーであるが、次から次へとかぐや姫の結婚申し込みのごとく申込者が出てくる。この辺りはコミカルで、スケールの大きさを感じる演出である。

夫の自殺未遂という展開から隣の男センゲーに焦点が当たるが、冒頭でトゥヤーはセンゲーの泥酔状態での世話振りから、男を肉体的に欲しているというのは観客に知らされている。父親ほど年齢の違う夫と結婚させられる女の子の結婚制度というものも底辺には存在するのであろうか。

夫がいながらセンゲーに引かれていく若妻の心理を何気ない表情で演出するワン・チュアンアン監督の力量も秀逸だが、ユー・ナンの受けのようでいて能動的な推進力を感じる演技力も確かだ。

ラストは冒頭のリフレインで終わり、父親二人とはセルゲーとの再婚のことだったんだなあと分かる展開、全く同じ映像だったのはちょっとがっかり。何か、工夫が欲しかった感が強い。しかし、ホント、秀作。いい映画でした。

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