声だけ出演でも佐野さんの生き様が見られると期待して見たんだけれど、さて、それはどうだったんでしょうか、、。
この映画の題名である絵本は全編紹介してくれる。まさにその話はやはり感動的だ。でもそれを体験したくてこの映画を見ているわけではないだろう。この絵本に感動して自分の人生を語る様々な女性の読者が映像に映る。でも、そんなのを見たくてこの映画を見ているわけではない。僕は佐野洋子さんの生きざまを見たかったのである。
映像は彼女が生活した住居などを転々と映し出す。北軽井沢のアトリエからは彼女が使っていた絵の具が残っており、それらは彼女を彷彿させる何かを持っている。彼女の兄弟のこととかがナレーションで語られるが、それらも彼女の状況を表してはいるものの、彼女の生の姿を示してはいない。
時々男っぽく語られる語りも何故か短く、少なく、彼女の内面までは届かない気がする。ラスト近く、北京で子供時代を過ごした彼女の住居跡を彷徨うシーンで女優の渡辺真起子が突如現れるが、それも意味合いが分からない。彼女が言っていた北京の風の感じも伝わらなく、風景としてもうまく溶け込んでいない気がする。
面白かったのは彼女の葬儀場面が結構中盤で映されていたことだろうか。最後に持って来ないところはなかなか光るものがある。
と、彼女の、あまりに出番が少なすぎて、佐野洋子を鋭く捉えたドキュメンタリーとは思えないのである。ここを難点というには少々製作者に失礼か、とも思うが。
絵本の世界自体はかなり実に丁寧に行き渡っていたと思われます。
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