一時浦賀氏の作品をむさぼり読んでいた時期もあった。面白かったけれど、ミステリーでも本格からかなり逸脱していたのでそのうち遠のいてしまった。そして評判高い本作。でも12,3年以上前の作品なので本作はその時夢中になっていたとき読み落とした作品群なのかもしれない。
冒頭の大学生と加奈子と多重人格者らしい女性との3人の取り合わせの会話が面白く、ミステリーそっちのけでこの作品に入ってしまっていた。文庫本で400ページ以上という結構長編なのだが、後半はストーリー優先で人物への書き込みが薄れていき、それだけページをめくるスピードも速くなってくるので意外と速く読めてしまう。
題名にもある謎解きは僕には途中で分かってしまうが、それにしても由子が不可解だった。けれど彼女も軽度の多重人格者だったというオチはちょっと許せない気も、、。
また、設定は面白いけれど近親相姦と言っても父子というのはちょっとあり得ない気もしますが、、。(実際は存在するかもしれませんが)
ということで、相変わらず完ぺきではない浦賀作品ですが、ミステリーでこの長編を、一気に読めてしまうというのはやはり優れもの。評価したいです。
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