ジャームッシュっとは折り合いが悪いんだよね。でも過去4作見てて平均4.25だったら、評価的には悪くない。どころか、すこぶるいい。けれど今回は苦手なゾンビものと来た。迷ったけれど、見て正解。よかった。
前作「パターソン」に感心したんだ。まるで天国での営みのような淡い色合いの映画で、寄り添えた。本作も、基本的にはその線で撮ってると思う。
地球の自転軸がおかしくなりかけたことから、地球の荒廃・人類の滅亡へと辿り行く。そんな瞬間がいつか来る、とは思っていた。そしてこの作品はそれをじっくりと見せてくれる。
ビル・マーレイがいいね。「ロスト・イン・トランスレーション」での現代人の孤独。演技以前の、体で表現できてしまう稀有な才能。今回も、ある意味、人類の滅亡を見届ける黒子の役割を静かに演じている。
対極的なアダム・ドライヴァーも実に受けて立ついい演技だ。ゾンビ化した人間には容赦なく、首から斬り落とす。観客の熱い視線を感じる役柄である。でも、僕は最後には殺戮などせず、家族のもとへ向かう、いわば自死してしまうクロエ・セヴィニーの女警官がかなり印象に残った。
いわば僕は、この3人はドストエフスキーの「カラマーゾフ」の大審問官の前に立つ究極のキリストと取る。
いろんなゾンビ映画を見てきたけれど、一流の監督の手にかかると、すごく洗練されたホラーになるんですな。楽しめましたよ。秀作。
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