「ふがいない僕には空(くう)しか見えなかった。」
二人の恋愛をシャッフルで視点を変えて見せる、今やもう当り前になった映像も特に新鮮ではない。(一部全く同じ映像をそのまま流したのには少し閉口気味)
二人がどの時点から本物の恋愛に変わろうがそんなこと(特に僕にとって)どうでもいいことだ。(この映画にとって)本物の恋愛にそもそもどういう意味合いがあると言うのか、何てさえ思ってしまうふざけた僕なのだが、2,3点分からないことがあります。
1.あの、単純な場所に設定してあった隠しカメラの存在を日頃家にいる女が分からないはずがないという事実。(音だってするだろうし、場所も考えると、女は知っていたはず。だから、あれをネットに流出させたのは最初は女だと僕は思っていた。その理由をずっと考え続ける空の時間、、)
2.一番いいシーンであるべき同級生の男女が流出写真を忍びこませる理由が、恥ずかしいかなこれも最後まで分からなかった。これが分からないとこの映画を理解出来たことにならないのではないか。)
3.不妊というだけで現代の地獄を味わう(味わっていると思っている)女がそう可哀想でもないと僕には思われたが、ほとんど狂人じみた母親と幼稚な夫の元からさっさと出て行けばいいのにと強く思うのに、何故じっと家にこもっていたのか。このことに意味があるのか。(生活力がないだけで女は家にいるものだろうか、、)
後は素直な感想。
4.だいたい男の精液を子宮に受け止めたいと願う気持ちの裏には「私だって妊娠出来るはず」という不遜な思いがあったはずだし、このコスプレ主婦には僕はそもそも同調できない何かがある。
5.同級生のバイト少年も勉強をすることで新たな道を歩き出そうとするが、ちょっと映画的にも安易な発想でないかい?(若者の半分が進む大学進学にそれほどの意味があるいうのか。少なくとも彼は闘ってはいない)
6.この映画の中で一番輝いて見えた男の母親である助産婦。助産院での出産は本当にあんな畳の部屋で手作りの環境で行っているのだろうか、、。(この映画を見て助産院に行こうとする女性が減るのでは)
7.それと母親がやけに立派すぎる。この人だけが断トツである。何だかなあ、、。何かあざとい気もする、とまで思わせる僕の中にある空(くう)の大きさ。
8.それと何なのじゃい?初めて見る三浦貴大のキモサ。
何かこの映画全体に少々ざわざわするキモサがあるのもこの映画の特徴ですね。
とか、とやかく、つべこべ、のたまっておりますが、考えたら主役の男のことを全く書いていません。そうなんです。思っていた女の子から積極的にされると引いちゃう普通の男の子なんですね。映画を見終わっても特に感想も出ません。決して役者が悪いというわけではありません。
でも、作品的にはこの長尺を随分こなした演出ぶりです。タナダユキ、さすがだと思います。しかし、この青春の一時である時代を忘れかけている吾輩からするとこの映画は「ふがいない僕は、空(くう)を見つづけていた」とでも言うべき作品なのかもしれません。
原作も映画も、衝撃的作品でしたね。
原作本の本質をどう映像表現するかで、もしかしたら
相当悩まれたのかも。
監督の持っている才能で乗り切った感じ。
タナダユキさん、最近小説「復讐」も発表されて
今後は作家もされるようですね。
マルチな才能というか、すごいなぁと思いますね。
一体どんな才能をお持ちなのか、いろいろググってたら
http://www.birthday-energy.co.jp/
で、タナダユキさんを解説してる記事を見つけました。
このまま更に活躍頂きたいですね!
タナダユキさんはほとんど見てます。女性という視点ではなく、とにかく面白い映画を作ってくれています。才能豊かな人ですね。
この作品タナダにしては結構まとまっていました。いつものようにもっと自由でもいいのではとも思いました。
またお越しください。
それでは。