高橋にしては平明な映画作りにびっくり。でもその平明さがゆえに、社会の底辺に棲む市井の人間たちの生き方が生々しくまぶしく浮かぶ。
板谷がバクダンと意気投合するまでの過程は秀逸。一瞬の夢。でも元バクダン魔はもはや機能せず、夢破れしのノスタルジー男に変貌していた。板谷は人間の原点に戻り、今まで一度も社会に逆らわなかったことを改め、本来すべきことを目指そうとするラストに突入。爽快である、。
一方、普通の人々がコロナ社会、すなわち社会の底がすとんと抜けるかのように、二度と這い上がれない現代の社会構造に正直おののきもする。
家にすっこみ、テレビ等で映画の公園シーンも何度も見てきたのに、見て見ぬふりをしていた自分自身にはいこびる恥辱感。その自分を責めながら、ラスト、板谷の強いまなざしに共感を感じるとともに、自分が忘れていた若き日の何かを思い出す。
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