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観賞数 2025年 映画 06本、 演劇 06本

ジョーカー(2019 米)(トッド・フィリップス ) 90点

2019-10-04 20:22:12 | 映画遍歴

あの超ダークなジョーカーの誕生物語である。前半、じっくりと悲劇の生涯を背負うジョーカーが描かれる。これは僕の想像外であった。彼はとても人間臭あふれるそこらにころがっている路傍の人なのである。むしろそれは悲しみさえ感じるほどで、意外な展開だぞと思わず叫びたくなった。

ところが、自分の出生の、またさらに母親の真実の姿を知るに及び、いよよわれらが知るところとなるジョーカーに変貌してゆくのだ。そのすさまじさ。それからが、この映画の神髄と為すところだろう。もう手が付けられなくなるほど、超ダークに聳え立ってゆく、、。

これはものすごい映画を見てしまったわいと幾分ぞっとする。というのもうまく言えないが、われわれとこの目の前のジョーカーが完全分離しないからなのである。この、この世に存在してはならぬダークな生き物は、困難な社会構造により生まれかねないものとして描かれ、また一方、多かれ少なかれ我々自身の中にも分泌しているかのように思えるのである。

2時間の映画の集中度、終わってからの人生への斜視への傾度はたとえようもないほどで、もう映画なんて何をももたらさないのでは、と危惧していた僕に、往復ピンタをくれた映画であります。こういう映画を堂々と上映してくれるのって、まだまだこの社会、いけてますねえ。

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