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夏時間の庭 (2008/仏)(オリヴィエ・アサイヤス) 70点

2009-06-11 14:18:57 | 映画遍歴
淡々としたフランス映画だ。超膨大な敷地を持つブルジョアも、著名な美術品を持つがゆえ、相続税対策とはいえ個人から徐々に所有が離れていく現実。それは家族という愛の崩壊を意味するものでもあった、、。

ある意味、個人で所有する美術品は一定のもの以外はもはや所有できない時代なのかもしれない。現金がなければ肉親の大事なものでさえ放出せざるを得ないのである。まあ、美術品というのはそれだけ公共性の強いものだという考えもあるが、本当にそれでいいのかな、と思ってしまう。

お金など何の価値があるのかまだ理解できない現代っ子の女子高生が祖母の気持ちを一番理解していたなんていうパラドックスは最後にアッパーパンチで効いてくるが、家は住んで初めて価値のあるものである。美術的価値の高い花瓶もオルセーでその他大勢で展示されるよりも、庭の草花で生けられて初めて価値の出るものなのである。

そんな、当たり前のことを、さすが、愛の国、美術の国フランスは映像で私たちに教えてくれる。何気ない地味な映画ではある。俳優陣の豪華さを除けば淡々としたスケッチ風のドキュメント映画でさえある。フランス映画の懐の大きさを感じてしまった。

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