ジャームッシュの映画って、今まで3本しか見ていない。しかもそれほど高評価でもない。そして何気なく見た映画だった、、。
これがものすごくいい。現代で、ミサイルが飛んでくるかどうか分からないこの世の中で、ごく僕らの周りにこんな小さな幸せが潜んでいる。
そこにあるのにみんなちょっと上を見ている。頑張っている。でも気づかない一日の市井の平凡さが一番人間の幸福なんだ。そんなことを感じさせてくれる。実にいい映画です。
この夫婦の朝の寝覚めの姿が実に美しい。6時15分過ぎ。男は起きる。そして妻にそっと口づけをする。そのしぐさの愛らしいこと。
一週間の話である。何も変わったことはそれほど起きない。名前の通り、パターン化した行動を取る男である。少々事件が起きるのは犬の散歩の帰りによるバーでの出来事ぐらい。でも、みんないい人たちばかりだ。人生をみんな生きている。
この物語の最後に、この決まり切った日常に、多少変化が出る。日本人詩人の登場だ。ノートにつぶやくように記述していた詩を突然亡失してしまい、途方に暮れていた時、彼は現れる。不思議な人物だが、どう捉えたらいいのだろうか。
まるで、詩の神様が地上に降りて来たようなファンタジーを感じる。絶品である。この男は真っ白のノートを神様からもらい、また詩を書いてゆこうという気持ちになる。そして映画はまたリフレインの月曜日に戻る、、。
うーん、こんな映画を見たかったのだった。こんな夫婦にあこがれていたのだった。こんな町に住みたかったのだった。でもどうしてこの夫婦には子供がいないのだろうか、、。
そうですね。子供がいるとこんなユートピアは生じないんでしょうなあ。それはこの話が天上の物語であることを謳っているのではないか、と思われてくる。
ジャームッシュの最高作ではないだろうか。
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