何か古いフランス映画のような香りは持っている。しかし、それなのに不思議と僕の心に沁み通らなかったヘンな映画でもある。やはり男の気持ちに一本、びしっとしたものがないからかなあ、、。
冒頭の異国籍乱痴気騒ぎから地下駐車場までの疾走風景はなかなかよろしい。車両も外車でなくトラックというのも逆に洒落ている。しかしこの映画のセンスが光るのはそこまで。
男の、女を思う気持ちの強さは暴力的でなかなかいい。現代の男性にないものを感じるほどだ。しかし、彼のいいところはそれだけで、肝心の気持ちがふらふらしており、カネにも仲間にも女にも甘え過ぎており、見どころがない。どうにも見ていて苛々する。特にあの仲間たちの連帯感が希薄すぎるようにも思う。
こんなどうしようもない男を見るために僕は映画館に来ているわけではない。貴重な時間とお金を浪費するわけにはいかない。見ていてそんな気持ちが徐々に募って来る、、。はたして女も多少男を諌めるが、それは惚れた女の弱いところで、一方ではもう締まりがない。
この映画の原作が中上健次だというのも後で知るわけだが、どうも情念の描写がまるで違う感がする。ひょっとしたら、ではあの地方都市というのは和歌山の新宮ということなのだろう。(なんだよね。エンドクレジットからはそう分かる。)
でも違う。映像からは中上健次の臭いは皆無だったように思う。僕は長野辺り、東京近郊かなあと思ってしまったぐらい。
で、あまりこの映画、書くべきところはないのであります。そういう意味でも不思議な映画でした。
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