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厨房で逢いましょう (2006/独=スイス)(ミヒャエル・ホーフマン) 90点

2007-09-04 20:48:14 | 映画遍歴
本能といいますか、人間の欲望の中でも最も強いといわれるのは性欲、食欲、睡眠欲などとよく言われますが、この映画のテーマは単純に食欲ではありません。
ある男がある女を好きになった。男は優秀なコックであり、料理をもってして女を愛撫しようとした。女はそれに応え食べるという快感は夫とのセックスを助長するものであった。夫と女は性的快感で倦怠期を乗り越え、子供まで授かる。だが、そのセックスは男が女を想い調理した絶品の料理の延長にしか過ぎなかった、、。
料理って、人間の食欲すなわち性欲といったいのもので、やり方によってはこの映画のように人間を狂わせる何かが潜んでいると思われる。おいしい料理によって支配階級までが変わってしまうという寓話が後を絶たない。それほど料理というのは人間の欲望を刺激するものであるらしい。
単純なハナシなのだが、うっとりするぐらい丁寧な演出。顔の表情だけで、その男の心情を演じきったヨーゼフ・オステンドルフの醒めた秀逸な演技、人間の愛の欲望の乾きと成就を演じきったシャルロット・ロシュ の的確な演技、受けと攻撃を柔軟に演技した夫役のデーヴィト・シュトリーゾフ、それぞれまったく完璧だ。
いやはや単純な愛の物語なのに、この映画の、受難劇の後にもたらされたさわやかなラストは本当に心地よく、映画的高揚を久しぶりに感じた。秀作。

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