ドランの映画は初めてです。なるほどこういう感覚なんだ。作品自体は演劇っぽい展開で、それほど場面が変わるわけではない。年代もちょっと前のエイズ症候群の暗さがあります。
西洋に、「放蕩息子の帰還」というテーマがありますよね。このルイをして、放蕩息子と決めつけるには少々無粋すぎますが、実際、作家で成功したとはいえ、世間にはばかる死病を抱えて帰還した弟をどう扱えばいいのか悩む兄にとっては、家族を守ることしか頭にないわけですよね。
映画では妻と自分しか真実を知ってはいないように設定しているが、母親は然り、妹も本当に分かっていなかったのだろうか、、。もう成人している姿からは、それぐらいは分かってはいるはず、なんて僕は思ってしまったが、そうすると映画の展開に一人気を吐く兄の行動も解せなくなってくるので、やはり早計か。
結局、一番エゴで、一番身勝手なルイは日本版「東京物語」よろしく、家族のみんなから袖にされるわけ(敢えてそう言いたい)だが、それを一番理解していたのは常にハラハラドキドキの兄だったのだろう。
唯一血縁でない嫁のマリオン・コティヤールが理性的でその場の観察者という位置を明示していたのは、この映画を支える芯ともなっている。一方「東京物語」の原節子を考えるに、西洋と日本との相違を痛烈に感じてしまう。
それにしても、たかが(映画をもじって)若き映画監督にこれほどの著名俳優が群がるこの現象は、ちょっと前のF・オゾンを思い起こしてしまう。このまま伸びてくれればいいのですが、、。
そしてラストの鳥の死骸… 今も心に焼き付いて離れません。
年頭にして 傑作に出会いました。セントさんお薦めありがとうございました。…映画って面白いですね…
今日は温度はそこそこあるのですが、風がやはり冷たいです。何といっても1月ですね。
この作品は、最初見た時それほど高い評価をしていなかったんですが、時間がたてば、たつほど気になって仕方がない映画でした。
めずらしいベスト1です。
こんな映画が好きですね。誰もベストテンにも入れてませんが、、。
それでは、また。
セント