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sputnik.『星降る地中に〈竜〉は棲まう』(作/土屋甫 演出/鈴木径一郎)(於・カェスロー大阪) 80点

2017-02-12 19:51:19 | 演劇遍歴

sputnik.2回目の観劇である。前回も現代の矛盾を通して生きることの困難さを繊細に見つめた作品だったが、今回は何と研ぎ澄まされた感覚的なポエムとでもいうべき独特の世界を作り上げている。

人間世界にとって不都合だからという力学で、地中の奥深くに閉じ込められた竜と人間との対話寓話であります。永く時間をかけて相手をそれぞれ理解し合うことで、雪解けのときはやってくる。夏でも氷のように心を閉ざした竜は人間たちと融解を試みるようになる。

この演劇、冒頭で書いたように全編ポエムです。題名の『星降る地中に〈竜〉は棲まう』がこの演劇のすべてを物語っている。今、大阪は一番寒い時。まさにこの劇の舞台装置としてはこの上ない環境である。人間と敵対する生き物であっても、優しさと、温度と希望さえあれば何とか生きて行けるのだ、と。

そう、この劇は登場人物が何故かみんなロシア風の名前であるが、あの過酷なロシアの超マイナス温度という環境でも、人は理解することさえできれば共存することができるのだと言っているようだ。

僕らが日常で悩み、苦しみ、喜び、泣いているものらは、何と表層的で実体のないものであることか。この劇はずしんと人間関係性において本質に導いてくれるのである。

竜とは題名からも何故か地球外生物のようにも思われるが、例えば人間同士の争いの原因でもある宗教にも通じるところがある。また、卑近なところではあるが不幸な家族間・恋人同士の争いごとなども思い起こすことが出来る。

人間はせっかくこの大きな宇宙の中でたった一つの小さな星に生まれたのであるから、争いごとはやめて相手を十分知ろうよ、と言っているようでもあった。

秀作である。俳優陣はみんな素晴らしい。それぞれの役柄を十分理解し得ていたと思う。

劇場を出ると思わず頬を刺すような冷たい風。でもそれさえそう感じなかったのは僕の体の中でふつふつと人への思いというものが沸いてきたからではないかと思う。いい演劇を見た後でいつも感じている感覚である。


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3 コメント

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2月は逃げる (観劇オバケ)
2017-02-18 11:52:48
セント様

お早うございます。

お風邪ですか?御大事になさってください。今年は寒いですからね。

「自嘲気味」は合ってるのかな?(笑)「自重気味」でも意味は取れる(笑)

sputnik.も『そこにあったはず/サリマライズ』『きみが大好きだった、とおいいえ』と連続で観劇中。今回も『星降る地中に〈竜〉は棲まう』という題で行く気満々に。ただカフェ公演は今年はキると決めているので泣く泣く諦めることに。

岸本愉香さん、川田恵三さん、ことね(箱庭計画)さん、江本真里子さん、土江優理(Contondo)さんが出演されてたんですね。

セント様は川田さんお好きですね。昨年1月の演劇空間WEAVE CUBE『旅猫リポート』での好演が強く印象に残っています。あれは良かった。

今日は創造集団ちいさなクルミーノ第3回本公演『ポ・イ・ン・ト』→暁!三國学園製作委員会『暁!三國学園』のハシゴ。今高槻市らへんを走ってます(笑)
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そうですね、、 (セント)
2017-02-18 23:14:01
観劇オバケさま、こんばんは。
川田氏とは2,3年前でしたか、「水平線の歩き方」であの膨大なセリフをもろともせず、朗々と一人の青年の人生を演じ切ってから、ファンになってます。それからはすべて見るようにしています。
僕はウイングフィールド好きですよ。最近は椅子席もちゃんと用意してあって、年寄りでも疲れません。
東京の、あの、詰め込んだ窮屈さは関西ではあまりないですね。救われます。あれに比べると関西はどこも楽園です。
それでは、また。
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なるほど (観劇オバケ)
2017-02-18 23:50:13
セント様

川田さんはそんなことが。いや公演名は知ってましたが観て無いので。。

ウイングフィールドは二足制がキライなんです。床がキレイならまだ良いんですが。

同じ二足制でも阪大豊中キャンパスの21世紀懐徳堂ならまだ行く気になるんですが(笑)

トイレに石鹸が無いのもマイナスかな。。

広さは別にあれくらいは良いですよ。天井が低くて照明を附けづらいのか若干暗いイメージがありますが。
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