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星の旅人たち (2010/米=スペイン)(エミリオ・エステベス) 80点

2012-06-30 11:22:21 | 映画遍歴

素晴らしい映画ポスター。いい題名。コピーは「さあ、人生の旅に出かけよう」。800キロの巡礼の旅。日本だったら東京から岡山ぐらいの距離かなあ。しかも山岳道だ。気の遠くなるほどの巡礼道。

息子をピレネーの嵐で亡くした父親。火葬にした息子の灰を巡礼道にまこうと急遽旅を始める。まさにロードムービー。疎遠だった息子と対話を図る日々。映像に突如息子が出没するシーンが実にいい。息子は父親の心に住んでいる。息子のまなざしがやけに優しい。

一緒に行動することになった3人の巡礼者は一応理由はメタボ、禁煙、スランプなどそれぞれ結構軽いものだ。これが創作好きの監督だったらもっと人生上の悲劇を交えて、例えば難病者を取り入れたりするのだが、恐らく原作があるのだろうか、劇的な要素は少ない脚本だ。でもこれがいい。

ただ歩く。食べる。休む。寝る。その繰り返しだ。日本の四国巡礼のように観光地化していないので、勿論ベッドだけの宿泊施設も多い。過酷なのである。自然、旅の道中はいつも自分と向き合うことになる。この辺りは淡々と映像も美しく退屈しない。

観客はみんな自分だったら、という想定で旅を見つめている。自分が映像の4人にかぶさっている。そういう意味でも親近感が濃厚だ。所々じんわり流れる涙が暖かい。

素晴らしい映画を見せてもらった。どうというところのない映画なのだが、恐らく月日がたっても忘れることのない映画になりそうな予感がする。

秀作です。


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