何気ない通常のどこにでもある家族映画なのだが、分断という大きなテーマが底流に流れていることに気づく。
そういう意味ではアメリカにとっては時流を得たというか、今深刻なテーマとなりうる映画である。しかし、恐らくチョン監督はそういうことを意識せず、ただ淡々と自分の人生を辿りたかったのではないか、そんな気がする。
家族の中でも夫と妻との価値観の相違(敢えて分断と言おう)、孫と祖母との同じ韓国人でありながらも生じる嫌悪感、そしてアジア人と白人系との本能的乖離、キリストへの信仰を原初的に実践している者への軽蔑感などが次々と描かれていくが、こういうことは我々が日常茶飯事的に現代社会に生きて行くうえで、経験していることなのであろう。
映像を見ていくと、やはりいつもの韓国映画ではないなあと気づく。タッチがハリウッド系である。まさにアメリカ映画に仕上がっている。普遍的な題材であるからこそ、韓国移民という垣根を取っ払って「どこにでもある話」に徹底させている。
そこがこの映画のスケールの大きさでもあると思う。秀作。
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