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ハンコック (2008/米)(ピーター・バーグ) 75点

2008-10-03 14:06:44 | 映画遍歴
うーん、結構まとまっている。今やヒーローものの大廉売中の映画界。新しいところではメカスーツを纏い大気圏に舞うアイアンマン、正義か悪かで悩む「考える人」のバットマン、思い切り暴れるハルク等々みんなマスクをし、奇抜ないでたちで宙を舞っている。でも、このハンコックは、、

人間の格好のままスーパーマン並みの働きをしてくれる。そこがまず気に入った。まるで夢の中で僕たちが自由自在に飛んでいるかのようだ。まさに夢のヒーロー。
しかし、そのヒーローにも欝が存在し始めている。人を助けても人気がない。荒っぽいというだけでもないだろう。恐らく人間との交流が精神面で欠けているというのを市民は知っているのだろう。そんなヒーローものではいままでなかった設定の妙。

ハンコックの悩みとその回復までの過程が人間的で、親しみやすく、そこらのヒーローものを超えたスケールアップした映画であることに気づく。後半なぜか気になっていたシャーリーズ・セロン話になると、また一段と温度差のあるむしろラブストーリー系映画に入っている。2話を無理に90分に詰め込んだ感もある展開だが、これもまた面白い。天の川に堰き止められた織姫と彦星のようで、しかも永遠の生命を持つことから死ぬことも叶わない。まるで、バンパイヤの存在のようでもある。

彼らが引き合うことによって起こる力の衰退も面白く、後半は活劇の形を借りた男女の哀しい愛の物語になっている。まあ、ウィル・スミスとシャーリーズ・セロンの二人だからこそ壮大で哀しい愛の形が描けるんだろうなあ。うまい。感心しました。

というわけで、この映画は映画の面白さの基本である90分という枠の中にヒーロー誕生とそのヒーローの決定的な宿命のラブストーリーを2本詰め込んだ贅沢な映画なんです。今のハリウッドでこんな粋な映画が作れるんだね、と僕はほくそ笑みました。今年の娯楽作でも収穫策ですぞ。

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