7年ぶりの書き下ろし作品。法月ぐらいになると手抜きのようなモノは出せないし、そもそも遅筆の方だからあっと気づくと7年になっていたのかなあ。そしてこの作品は評判が高く、彼をずっと読んで来たファンとしてもすこぶる興味ある作品であった。
倒叙物から始まりその内いつもの法月親子の掛け合いになる。交換殺人に気づくも4重であることに辿る過程は面白い。けれど、けれども、9割読んでもスゴイと思わせるものがないんだよね。とすると、ラストはあっと驚く大逆転が待っているんだろうなあと思いながらページをめくって行くが、、。
そもそも4重交換殺人というのが現実的ではないというのは読者も重々知っている。それを承知で読み進んでいるのであるが、その内本当の殺人事件を起こしてしまうくだりがどうも僕にはすっきりしない。それじゃ単なる殺人者になり下がってしまうだけではないのか。ちょいとあんぐりする。
2重より4重の方がミステリーとして圧倒的に面白味が増えるというのは分かるが、4重になればなるほど関係者が増えて来るわけだから、ほころびの確率も倍々に増えて来るのは分かっているはず。そういった部分が法月にしたらちょっとテクに走り過ぎだと言えようか、僕にはすっきりしない部分である。
まあ、7年ぶりに法月の元気なところを見せてもらったのはファンとしては大収穫。これを機に即、次の長編、期待していますヨ。
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