この映画を見ていてふと想う。この手の移民族の大ファミリー映画ってアメリカに多いなあ、と。不思議と日本では少ないような気がする。やはり単一民族と多人種国家との相違がファミリーの色合いを変えるのかなあ、、。
で、この問題の一家。多兄弟なんだ。男2人、女7人(だったけ?)。ちょっと不可解なのはこの7人の女の存在。最初は何故家に滞在しているのか不明だったが、何のことはない姉妹だったわけだ。
でも、恐ろしくみんな人相が悪いというか、ブサイクなんだよね。これって何の意味があるんでしょうか。両親はそこそこだから、最初はこの一家に不法滞在(?)している女性たちかなあと思っていた。なぜこんなキャスティングしたんでしょうか。謎です。
見ていてやはりスポーツ映画特有の高揚度は高いけれど、何となく厭な映画なんだよね。父親以外はこの弟にたかって生きている感が強く、見ていてやり切れない印象が漂う。不快なのである。
この伏線でこの映画の見どころ、要するに【クリスチャン・ベール】の病的でまさにアカデミー賞狙いの体当たり演技がクローズアップされる。彼は『マニシスト』でもガリガリの体を見せて衝撃を与えたけれど、今回はいかにもヤク中の不健康丸出しの、見るからに目をそむけたくなる容貌とどうしようもなさがストレートに披露される。不快である。なお、それに加えてさらに剛腕ママのどうしようもなさを見せつけられることになる。
これは血を意識しないことには見られない映画であります。恐らく日本人と、アメリカ人との間にこの映画を見る前提において、かなり意識の相違があるのではないか、と僕は思う。
で、結果は【ベール】のアカデミー賞獲得。さらに母親役の【メリッサ・レオ】も 賞を獲得したわけであるが、作品的には見ている間は熱中できるものの、しばらくすると忘却できる映画のような気もする。それだけ、僕の心と通い合うものがほとんどなかったということかもしれません。
【ベール】は主役になると線の細さが災いして助演に食われっぱなしの役が多いが、ひょっとしたら助演の方がいい役者なのかもしれません。(と、こんなことを書いたら彼のファンに怒られるかな?)映画の出来はよかったと思われます。
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