これは面白い。漫画の行間の「間」をそのまま映像化した稀有な作品です。演劇でいうところのショートショート作品なんですが、この二人の俳優が作る空間はもう俳句の域に達してかけてますなあ。凄いです。
8つのエピソードがあって、最初から観客をどんどん引き込む力がある。池松はさすが17歳の高校生には少々見えづらいけど、菅田は十分高校生してる。その二人の全く相容れることのない距離感と、そのうちじわじわと親近感が深まるドラマチックな展開が、コメディタッチの中にも人生の淡い色付けがされてゆく、、。
二人のの向こうの、歩道を歩く人たちがまるでそのままドキュメンタリーであるかのような錯覚を覚えるほど自然であります。ある意味これが一番凄いと思った。
7つ目のバルーン役者が入るエピソードぐらいから少々ノリが弱くなって、今までの強烈な面白さが薄れてくる。何故かなあ、、。とても残念。その雰囲気はエピローグまで繋がってしまい、あの高まった空気感が薄れていくところでジエンド。
考えたら二人の掛け合い会話劇に、もうひとりの誰かが入ると、その構築された濃い空間から徐々に空気が漏れていく感じ。これだけが残念至極であります。
映画的には難しいものに挑戦してくれたその野心がいいね。さすが、大森立嗣。十分期待に応えてくれました。秀作。
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