自転車の後部席から見える父親の大きな背中。ぬくもり。不思議と急に優しくなって買ってくれる靴。そして手にも持てないぐらいの大きなケーキ。しかし、その一瞬の幸せは父親からの最後の鼻向けだった、、。
親から捨てられるということ。まるでモノのようにポイ捨てされるということ。9歳の少女ジニにとってはぬるま湯から急に氷水を掛けられたような思いであったことだろう。父親は必ず連れ戻しに来てくれるはず。それを信じてジニは施設の他の少女たちとは私は違うんだと思っている。
それでも日々は過ぎゆく。父親は来ない。施設の食事なんか食べる気もないが、食べなければおなかは空いてくる。夜遅く食堂に忍び込んでも残り物の食べものはない。
年がちょっと上の少女ソッキがいる。彼女は海外にもらわれていくためのテクを知っている。でもジニは父親が迎えに来てくれるはずだから関心はない。
けれど時間が経つにつれジニも現実を見始める。周囲を見ると修道女の他に2人の女性がいる。足の悪い成人気味の女性が一人。そろそろ施設から出なければならない年齢である。男を好きになり一瞬の夢を見たが現実は厳しかった。もう一人の女性。彼女はここでそのまま年を取り、住み込み世話女になってしまっている。彼女は下界に行くこともできずそのままここにとどまってしまった女性である。
ジニは9歳にしてすでにもう人生の有様を見てしまう。生きるということはこんなにも過酷なのだ。何故親から離れて孤独の存在になっても人間は生きていけるのだろうかと思う。
ふと見ると親鳥から離れた小鳥が庭に倒れている。怪我をしたせいなのだろうか、いわば見捨てられた存在だ。ジニとソッキは小鳥を大切に育てる。しかし甲斐もなく死んでしまう。
庭に埋葬する。そのうちソッキも施設を出ることになる。孤独をこの時始めて深く感じたジニは、小鳥を埋めた土の中に自分を埋葬しようとする。穴を掘り穴に入りそこに自分は入り土をかける。顔までかけるが当然ながら自分で自分を埋葬することはできない。
ジニもフランスにもらわれていく。その時ふと想ったのは自転車に乗せられた父親の背中とそのぬくもりであった。それだけを頼りに少女は生きていく。生きていくしかないのだ。
映画はほとんど余分なセリフを要しない。淡々と少女の心を覗いていく。氷で固まった心が融解することはない。あるとすれば心を溶かしてくれる優しさとぬくもりだけだ。少女はその何かと巡り合うためにこれからの人生を生きていく、、。
映画は少女の顔を映しフェードアウトする。冬の小鳥の心象風景である。寒空が痛々しい。あとあと残る映画である。深まる秋に見るいい映画です。
親から捨てられるということ。まるでモノのようにポイ捨てされるということ。9歳の少女ジニにとってはぬるま湯から急に氷水を掛けられたような思いであったことだろう。父親は必ず連れ戻しに来てくれるはず。それを信じてジニは施設の他の少女たちとは私は違うんだと思っている。
それでも日々は過ぎゆく。父親は来ない。施設の食事なんか食べる気もないが、食べなければおなかは空いてくる。夜遅く食堂に忍び込んでも残り物の食べものはない。
年がちょっと上の少女ソッキがいる。彼女は海外にもらわれていくためのテクを知っている。でもジニは父親が迎えに来てくれるはずだから関心はない。
けれど時間が経つにつれジニも現実を見始める。周囲を見ると修道女の他に2人の女性がいる。足の悪い成人気味の女性が一人。そろそろ施設から出なければならない年齢である。男を好きになり一瞬の夢を見たが現実は厳しかった。もう一人の女性。彼女はここでそのまま年を取り、住み込み世話女になってしまっている。彼女は下界に行くこともできずそのままここにとどまってしまった女性である。
ジニは9歳にしてすでにもう人生の有様を見てしまう。生きるということはこんなにも過酷なのだ。何故親から離れて孤独の存在になっても人間は生きていけるのだろうかと思う。
ふと見ると親鳥から離れた小鳥が庭に倒れている。怪我をしたせいなのだろうか、いわば見捨てられた存在だ。ジニとソッキは小鳥を大切に育てる。しかし甲斐もなく死んでしまう。
庭に埋葬する。そのうちソッキも施設を出ることになる。孤独をこの時始めて深く感じたジニは、小鳥を埋めた土の中に自分を埋葬しようとする。穴を掘り穴に入りそこに自分は入り土をかける。顔までかけるが当然ながら自分で自分を埋葬することはできない。
ジニもフランスにもらわれていく。その時ふと想ったのは自転車に乗せられた父親の背中とそのぬくもりであった。それだけを頼りに少女は生きていく。生きていくしかないのだ。
映画はほとんど余分なセリフを要しない。淡々と少女の心を覗いていく。氷で固まった心が融解することはない。あるとすれば心を溶かしてくれる優しさとぬくもりだけだ。少女はその何かと巡り合うためにこれからの人生を生きていく、、。
映画は少女の顔を映しフェードアウトする。冬の小鳥の心象風景である。寒空が痛々しい。あとあと残る映画である。深まる秋に見るいい映画です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます