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さあ帰ろう、ペダルをこいで (2008/ブルガリア=独=ハンガリー)(ステファン・コマンダレフ) 75点

2012-05-26 10:30:21 | 映画遍歴

ブルガリアって、ヨーグルトだのバレーボール、重量挙げなど東欧圏の一小国というイメージしかなかったが、この映画から自由のありがたさをひしひしと感じる。

秘密警察を題材にするドイツ映画はかなり見た。ソ連でもKGB,戦前の日本でも特高など、人間の自由を阻害する政治体制は探せば僕らの身の回りにいくらでもある。

この映画は二人乗り自転車で記憶喪失の孫と祖父とが、故郷に戻りながら自分を取り戻していくハートフル映画だが、やはり印象に残るのは人間の自由の問題である。

ブルガリアから自由を求めてドイツに脱出しようとする家族3人。途中、彼らはイタリアの難民キャンプで滞在を余儀なくされる。やっと自由圏の国に脱出したと思ったのにそこは政治亡命者を受け入れる場所ではなかったのだ。

ただ拘留されるだけで刑務所生活となんら変わらない生活。こんなはずじゃなかった、と思う気持ちは十分僕らに伝わってくる。バックギャモンで禁じ手の賭けをしてやっと金を工面しイタリアから念願のドイツへ脱出を図る家族。この辺りの描写は素晴らしい。

考えたら間体制の政治状態は何十年も東欧圏では続いていたんだ。映画自体は二人乗り自転車から見える明るい自然にまぎれてトーン自体は決して暗くはならないが、この映画のテーマの一つが圧政下の政治体制批判であることは言うまでもない。現代において首長があの圧政下のボスが今でもこの国を蹂躙していることはもはやコメディとでも言えようか、、。

父親と母親との不仲が説明不足でちょっと最後まですっきりしないところはあったものの、2時間弱の時間でブルガリア、否自由を奪われた場所で生きる人たちの勇気、哀しみは等十分伝わってくる秀作であった。

ラスト近くで急に出現する若い二人のカップル誕生は何か取って付けた感じで映画的には僕は感心しないが、日本に居ながらにして自由への渇望をまだ認識できる自分をこの映画から感じ取り、映画の読後感はすこぶるいい。


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2012-06-26 23:10:23
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2012-06-26 15:43:42
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