佐藤泰志の原作の映画化をすべて見ていますが、監督がすべて違うんですね。でも創り出された作品はすべて1級品で質感もほぼ同じ。それだけ原作の力が強いということなのだろう。本作も函館のどんよりとした空気感と静かに漂う微光が感じられ、わが心を大いに揺さぶる。
この映画の場合、生と死の割合が男の中でぐらぐら揺らぎ、かろうじて均衡を保っているのが、ただ治療として行っている走ること。友人もましてや妻でさえ生きる支えにならなくなっている現実の前に、男はただおののき、そして走る、、。
東京に出て、両親と食事をするとき男は本音を語る。「特に何も望まない。家族を持ち、ごく普通に生きること。それだけだ。」でもそこから一番遠い位置にいるのも自分だということを男は知っている。
東出昌大、想像以上に素晴らしい演技。驚き。やればできるんだ。
やはり佐藤泰志は素晴らしい。
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