歴史上の学説論争はとても面白く拝見しました。聖徳太子がまず実際上の人物なのかどうかというところから怨霊説まで紙面をかなり割いて、それはそれは楽しくページを繰る手も自然早くなる。
しかし、(資料篇に篠田氏の論評ではなく太子論の抜粋だということが書かれてあるが)肝心のミステリー部分がどうもすっきりしない。連続殺人事件なり、読者への挑戦なりがそれなりに楽しいが、カレー事件を模倣したような成り行きはちょっと動機的にも解せないし、何の意味があるのは明瞭でない。そしてワクワクするところが全くない。
彼の作品は初めてであるが、これだけでは判断できないもののミステリーとしてはちょっと平板すぎるのではないだろうか、、。
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