最近活気がない韓国映画。あの一連の熱源はどこに行った!頭に血が上りさっと醒めるあのドキドキ感。それらが久々に戻ってきたような本作。文句なしの秀作である。
設定は「インファナル~」だけれど至るところでハラハラさせる脚本の妙。何回も推敲したんだろうなあそんなフンジョンの野心が溢れている。
テンポもさることながら、韓国映画独特のダレさが全くないのがいい。無駄がない映像。セリフに頼らず表情・小道具で語らせる映画芸術の巧みさ。もうムンムンしちゃいます。
また俳優陣がいんだあよな。本当に水を得た魚のようなイ・ジョンジェの復活劇。今まで何をしていたのと言いたいぐらい観客と気持ちを分かち会える。でも、役者冥利に尽きる役柄ですなあ。これで彼も自信をつけただろう。今まで作品に恵まれなかったからなあ、、。
相変わらずうまいチェ・ミンシク。でも彼にとってはこんな役ぐらいお茶の子さいさいである。ちょっと顔が膨らんできたかなあ。
でも今回の収穫はあのいい人役の主役を張っていたファン・ジョンミンがかなり作っていたとはいえ陰影のある見事なヤクザ像。彼って、こんなに巧かったけ?驚きました。だからこそラストのラスト、二人の生い立ちが見事、生きましたね。
映画を観た後、ひょっとしたらジョンミンは最初からイ・ジョンジェの潜行ぶりを知っていたのか、と一瞬思ってしまったが、やはり同じ穴のむじなではあってもそれはないなあと思う。そんなことを思い起こさせるこのラストはなかなか素敵だ。ほっこりさせる印象を持たせるねえ。
でも今回は彼らにも負けぬパク・ソンウンのすっぱりとしたドツボやくざぶりもすごい。目の異常さが好きだなあ。あの3人を前にして堂々と演技してる。
そして紅一点(妻もいるから本当はそうでもないんだが)の将棋士ソン・ヒジョのあまりセリフのない役柄にもかかわらず、強烈な色気と「九の一」精神にはもう感心を通り超えて今でも余韻が残るほど。
結構長丁場の映画だけど最初から最後まで画面に釘付けでしたね。こういう映画こそ映画の中の映画だと思う。でもあまり観客入ってなかったね。こういう映画を見ない映画ファンも不幸せだと思う。(え、おせっかいだって?ゴメンナサイ)
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