セントの映画・小演劇 150本

観賞数 2024年 映画 92本、 演劇 70本

プリズン・トリック(著者・遠藤武文 2009 講談社) 80点

2010-03-21 14:21:39 | 読書遍歴
ミステリーで良くある一気ものでしたね。冒頭からの交通刑務所の描写が緻密で、まるでその場にそこにいる気分にさせられました。まさか、入った経験はないでしょうが、どこからこの知識を仕入れたんでしょうね。読者を最初から乗せてしまいます。

けれど、ミステリーとしたら帯にあるような乱歩賞史上最高のトリックとは到底思えない。どのトリックをさしているんでしょうか。刑務所になりすましで入ってしまうことを言っているんでしょうか。
まあ、この部分は多少面白かったけれど、でも、そうやすやすと刑務所に入ったり出たりできるはずはないと思いますが、、。

あと、刑務官を殺害してしまう動機も何だが曖昧だし、それと何はともあれ刑務所で殺人を犯す理由が説得力がないと思いました。そして、最後のあの映像に映っている人物の件。どうして他の人も気づかなかったのだろうか、、。

とか、結構ミステリーとしては欠陥が多い作品だと思いますが、みんなが読みにくいといった群像劇風の著述ぶりも、結構面白かったし、なにはともあれ、今までなかったものに挑戦するというのはやはり大したものだと思います。欠点はあっても長所もそれを超えています。僕はこの作家を買いたいと思っています。
ただ、講談社のHPに掲出された犯人のエピローグは何なんだろう、と訝しがらせます。ちょっとやり過ぎかな。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 空晴第五回公演「もう一回の... | トップ | 「浪花グランドロマン・湯た... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書遍歴」カテゴリの最新記事