「浪花グランドロマン・湯たんぽを持った脱獄囚」（作 別役 実／演出 たまご☆マン） 75点

演劇集団の普段使っているアトリエでの公演。狭いのは承知のこと。何より普段彼らがいるところでの演劇公演というのはファンにとっては嬉しいもの。

そして出し物は小劇場の定番ともいえる別役実原作。チケットが恐ろしいほど安い1000円なれど、質はすこぶる高い。
言わずと知れた二人劇だ。普通は女と男の劇だが、今回は女性二人の心理劇だ。舞台を見ていると、停留所の看板と時刻表が空に浮かんでいる。大きなトランクを引きずるように女が絶望に打ちひしがれたように舞台に現れる。そこに最終バスに間に合うようにと女調査員が走り込む。絶妙なスリル感のある出だしだ。そして別役の不条理劇が始まる。

別役ものにしては割と分かりやすく現代風にアレンジしてあるのだろうか、難しい劇にはしていない。捉え方が明確でいい。二人ともセリフに抑揚がありメリハリがあるいい演技だ。ラストまでまで一気でした。

またここに来たいなあと思わせるいい公演。スタッフの皆様もご苦労様でした。