「自称進学校」の構造について

2019-11-14 12:29:23 | 日記

 

 

昨日は「学校という場所が閉鎖的である以上、ガバナンス欠如は必然的に起こる」という話を書いた(だから透明性を確保しつつ、アウトソーシングすべきという内容)。その非合理性の例として、いくつか動画を紹介しておきたい。

 

この中では「どうしてそのようになってしまうのか」という観点で現場教師の声も紹介されるので、その意味でも参考になるだろう(まあ現在そういう高校に通っている人にとっては、構造的必然とか説明だけされてもしゃーないので、そこをどう上手く乗り切るかって話になるが)。公立高校の授業の質のバラつき、古文の写経の無意味さ、問題集の解答を渡さない、課題の非合理性、明瞭でない評価方法・・・これら全て私自身経験があるか、あるいは身近な人間に起こっていたことなのでうなずきつつ、まだ今も変わんねーの!?といささか呆れつつ視聴していた次第である(ちなみにだが、たとえば「問題集の解答を渡してしまうと、それを写して提出するから困る」という反論があるかもしれないが、それを応用したものをテストなどに出すから、ちゃんとやって理解しなければ意味がないっていう風にすればいいだけなんじゃないか?と思う。それでできなきゃ、結局模試でも入試でも取れないやろうし。なんか「課題を課して出させることに意味がある」ような構造になっていることが実に不毛である。解けるようになるって結果よりも、とりあえず時間かけてやった=努力することに意味があるって、なんかこの国では学校に限らず仕事とか運動とか戦争とか、ホント色んな場面で見かけるように思うんだけど、ワイの気のせいですかね?)。

 

この動画における「自称進学校」の定義は曖昧だが、内容を聞く限りある程度当てはまりそうな学校は思いつくので、補足として次のような話を加えておくとよいのではないかと思う。これは地方の県立などが典型的だが、トップ校は基本的に自由な校風であることが多い(都立高で言うと日比谷とか西などがその印象。また国立で言えば、東大実績で名前が上がる筑駒・筑附・学芸大附属も確か緩かったはず。ただし都内の私立は知る限りでも個別に様々異なり、東大実績を一つの基準にするなら男子御三家で開成>麻布>武蔵だが開成より武蔵の方が圧倒的に自由放任だし、女子御三家なら同じ基準で桜蔭>女子学院>雙葉だが、桜蔭より女子学院の方が自由[というか正確には放置プレイのレベルw]である。神奈川県でも東大実績でトップ3の男子校は聖光>栄光>浅野だが、聖光は開成っぽいのに対し、栄光は麻布に近くアバンギャルドというのを聞いたことがある。なおアンケートとかに基づかない印象論なので、興味がある人はちゃんと自分で調べてねw)。

 

一方で2番手あたりまではともかく、3番手・4番手あたりになってくると、その微妙な学校のポジションや生徒の成績から、「管理してガンガン勉強させて実績を出さねば」という志向が学校側に強くなり、しかも生徒は思考力がある自立型タイプより真面目さで人から言われたことをコツコツやってその学校に来ている他律型タイプが多いため(超偏見w)、どんな学習方法が合理的かを自律的に選択させるのではなく、ただ量をこなさせることが優先事項となる、という構造である。

 

我が故郷の熊本を例に挙げるとこんな感じだ。トップの熊本高校は自由放任(課外授業なし)、二番手の濟々黌は文武両道・バンカラをアイデンティティにしつつ、自由放任で「4年生高校」(つまり一浪が普通)とまで揶揄される。しかし、**(censored)や***(censored)などは課外授業強制など学校からの拘束がきつい・・・とまあそんな具合(有名県立でも宇土、玉名、八代あたりは地元じゃないんでよーわからんが)。

 

まあこれは20年ほど前の話なんで、今の熊本について細かいことは知らないが、先に述べた都立トップ校の話や、また大学で群馬や宮城のトップ校の校風を聞く限りでは、ある程度全国の都県立に共通する特徴であるとは言えるように思う(このような傾向は、いわゆる「ナンバースクール」の自治やストームなどと合わせて考えることもできるだろう)。

 

閑話休題。
今述べたようなトップ校の校風と在校生の学力の状況(自由闊達でも最終的には自助努力で結果を出す)を踏まえると、逆に3番手や4番手の学校=おそらく動画で言う所の「自称進学校」に近いポジションの学校は、(真面目さはあるが能力値は高くない生徒が集まっているため?)システムや課題、言動で生徒を締め付けて生徒を無理やり勉強する方向にコントロールすることにある種の合理性を感じているのかもしれない。ただ、その一つ一つを様々な情報を元に客観的に分析すると、極めて非合理的な課題やそのやらせ方、また進路指導が見られるという話である。昨日書いたアウトソーシングの記事と併せて、情報にアクセスがしやすくなっている今日、学校側はもちろん生徒も、より合理的な選択をできるようにしていく必要があるのではないだろうかと思う。

 

 

蛇足
ちなみに言っておくと、私がいたのはまさに「自称進学校」の方であり、「この学校のやり方に従ってたら志望校受からんわ」と不毛さを感じて見限り、予備校に通っていた口である(ちなみに大学の校風は、高校の管理教育とは真逆であり、極めて居心地がよかったw)。まあそれで結果的に上手くいったわけだが、自分が本質的にリバタリアン的発想をするのは、こういう所に由来するのではないかと思ったりもする。


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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2019-11-15 23:02:59
大学受験自体、大学によって問題がバラバラですから、基礎はともかく応用まで同じことを教える必要が薄いですよね。東大受かって早稲田落ちたなんて普通にありますし。

管見のかぎり、最もマシな勉強本はこれでしょうか。著者はメンタリストDaiGoなんですけど、論文をベースに執筆しているので経験則で書かれたモノよりはマシかと。kindleをお持ちでしたら、サンプルだけでもダウンロードしてみてはいかがでしょうか。

最短の時間で最大の成果を手に入れる 超効率勉強法(https://www.amazon.co.jp/%E6%9C%80%E7%9F%AD%E3%81%AE%E6%99%82%E9%96%93%E3%81%A7%E6%9C%80%E5%A4%A7%E3%81%AE%E6%88%90%E6%9E%9C%E3%82%92%E6%89%8B%E3%81%AB%E5%85%A5%E3%82%8C%E3%82%8B-%E8%B6%85%E5%8A%B9%E7%8E%87%E5%8B%89%E5%BC%B7%E6%B3%95-%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88DaiGo/dp/4054066895/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&keywords=%E8%B6%85%E5%8A%B9%E7%8E%87%E5%8B%89%E5%BC%B7%E6%B3%95&qid=1573825784&sr=8-1
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Unknown (ムッカー)
2019-11-18 12:04:59
コメントありがとうございます。

>大学によって問題がバラバラ
まさにその通りですね。およそ最難関とみなされる東大・京大・一橋・東工大・国立医で見ても問題が全く違いますし(国立医なんかはボーダーが大きく下がる他学部と同じ問題だったりするので、まあ当然と言えば当然ですが)。


>応用まで同じことを教える必要が薄い
これはどこからを応用とみなすのかで返答が難しいところです。ただ、それを「教科書レベルを逸脱したもの」と定義づけるなら、たとえば東大世界史が出題した漢帝国とローマ帝国の比較対照、一橋世界史が出題したフス戦争の歴史的意義はともに応用の範疇であり、かつ求められる力のベクトルは全く違うと言えるでしょうね(すると、前段の問題傾向の話に戻るわけですが)。


以上のように、最初の段落の内容について概ね賛同しますが、問題は(さっきの定義で言うところの)「応用」なるレベルがどれだけの大学で出るのか、ということです。たとえばGMARCHの社会であれば、教科書レベルをきちんと覚えていれば、(中央法とか立教異文化コミュニケーションのような人気学部はともかく)合格点が取れるケースが多いのではないでしょうか?


この見立てが正しければ、基礎レベルで対応できる大学というのは非常に広範にわたるわけで、旧帝大含む最難関国公立、早慶上智(問題の特殊性から言えばICUも)を除けばほぼ全てではないかと思います。とすると、(微妙なラインにいる「自称進学校」含め)多くの学校にとってやるべき合理的な学習法というのはほぼ同じという結論になると思われます。

もちろん、地元の国公立と都市部の人気私立を目指すのであれば問題傾向は全く違うので、過去問添削などの対策は必要でしょうが、それは高3の夏休み以降くらいの話と思われます。


今の話で強調したいのは、本文で述べた非合理的な指導というのは基礎とか応用とかいう以前の問題であり、効果的な指導法というのは多くの学校にとって汎用性がある、ということです。


>勉強方法の件
DaigoさんについてはYou tubeの動画もいくつか拝見しているので本については読ませていただきたいと思います。

というか、他人の人生にダイレクトに影響を与えている教師の人たちにも、こういうのは読んでほしいですね・・・


私からは以上です。
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