体調が悪いのは、言い換えれば身体に悪しきものが住み着ている、ということだ。とするなら、汚物を消毒(意訳:火炎放射)するのと同じように、体内を浄化すべきであるのはマニフェストディスティニーと言えよう・・・
というわけで(?)、私は荻窪駅から少し歩いた環八沿いの「ビンギリ」なる名店にやってきた。ここで振る舞われる勝浦坦々麺は、その赤さで体内の毒素を浄化してしまうのだという(妄想)。まるで筒井康隆の『薬菜飯店』を思わせる不思議な効用に興味を持った私は、何とか予定を調整してその店を訪れてみることにした。
遠征が土曜ということもあって、かなり人が並んでいる。しかし、今の私は手元に本も準備しているので、むしろ待ち時間の間に大手を振ってゆっくり読書ができるというものだ。
1時間近く経過したところで、ようやく店内に入れた。もちろん注文するのは勝浦の赤いヤツである。ライスはサービスでついてくるらしい。
そして配膳されたのはこれ。
これを見た読者諸賢は、そのスープの赤さはもちろんだが、真ん中のニラの上に乗った薬味に気付いたのではないだろうか。この勝浦担々麺、券売機の「激辛」の文言に尻込みしてしまうかもしれないが、その必要は全くないのだ。
確かに、最初はそれなりの辛みがある。しかし、その後には薬味が口の中に広がって辛みを中和し、ニラやネギの風味とも相まって、極上の奥深さを味わせてくれるのだ。そのあまりの深みに、ついついスープを啜り過ぎてやや具材たちが苦しそうになったところで、今度はネギをいただく。そしてこれも美味い!ツヤツヤした見た目が食欲をそそるのはもちろん、少し大きめに切られたネギのシャキシャキした食感と風味が、担々麺のスープと絡まり引き立て合い、いくら食べても飽きることがないほどだ。
きっとここの店主は、転生した烈海王と個人契約でもしているに違いない(妄想)。正直もう麺はいらないんじゃねーかと思うほどの満足度なのだが、そちらもするすると食べられて十分に味わい深いものだった。
「旨辛って、辛いだけじゃなくて旨味もあるというエクスキューズでしょ」そんなことを思っていた時期が自分にもありました・・・しかし、このビンギリの勝浦担々麺については疑いようもなく断言できる。これこそ「旨辛」の名に相応しい!と。
以下はちょっとした補足。先ほどライスはサービスだと書いたが、そもそも勝浦担々麺自体が普通盛りでも十分な量があるため、ライスまで食べると結構なボリュームであり、少なくとも担々麺を大盛りにする必要はないと私は感じた。なお、どうしてもいくら美味いと言われても辛いのは怖い・・・という御仁にはこちらの
汁なし担々麺をお勧めする。食べた後にほんの少し辛さを感じるくらいで、辛いものが苦手な人も全く問題ないだろう。かつ、こちらも画像からわかる通り、カシューナッツなどが入っていて非常に複雑で豊かな風味を味わうことができる。その意味で、「勝浦担々麺の辛さ抜き」などとは全く違う魅力を堪能できることだろう。
さて、こんなに辛くて美味いのものはこれまで食べたことがないように思う。火~土の昼間しか空いてないという店ではあるが、次はいつ再訪しようか・・・とビンギリにガンギマリしたのであった。
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