皆殺し編でのひぐらしの急展開に萎えたという人は結構いるようだ。その反応自体は十分ありえるものだったと思うが、もし急展開を少しも予想できなかった(=目編のような展開に回帰すると疑わなかった)ために幻滅したのなら、それは読みが足りなかったのだと思う。その根拠は、罪編における新事実の扱い方にある。目編において詩音の得た情報は私たちが得てきたそれを補強・補完するようなものでり、もっと言えば、詩音の情報と私たちの知識にはそれほど飛躍やギャップが存在しなかった(またそれゆえに、目編が高く評価されているとも言える)。
一方罪編の情報はと言うと、目編と比べてかなり飛躍のあるものであった。というのも、新情報の性質という点で綿流し当日までは目編とほぼ同じ方向に話が進むが(※)、そのあと例のノートが出てきて一気に方向性が変わるのだ。それまでこの手の話題(UFO、分身、症候群など)は、確かに公式HPでたまに言及する人がいたのではあるが、物語内としては突如クローズアップされた形になっている。
つまり、そこへ至る伏線が弱く唐突に情報が表れるのであり、それを非難するのはまったく妥当な行為であると思う。しかしながら、それと同時に、少なくともそういった転換を罪編自身が明示していたことにも注目しなければならないだろう。表現の意図を読むという観点で言えば、罪編の新情報への伏線の弱さや唐突さは、むしろそれ故にこそ、何らかの必要性ないしは強烈な主張が存在していると考えるのは十分に可能であった(※2)。そして当時の私は、それが「皆編(あるいは真相)の緩衝剤」というものだと推測していたし、現在でもそう思っている。つまり、細かく積み重ねられている目編と、飛躍につぐ飛躍で彩られている皆編との仲介者、あるいは反発が予想される真相そのものに対しての心の準備(?)という罪編の役割が、「飛躍した新情報」を生み出した、ということである。ここで急展開を入れることにより、罪編のコンセプトが目編と大きく異なること。さらに言えばひぐらし全体の方向性・描写がこれから大きく変わっていくことを示し、皆編の衝撃を少しでも和らげようとしたのだろう。
それゆえ、描写のレベル自体を非難することはまったく妥当であるが、新情報の提示方法の必然性を理解できなければ片手落ちであるし、またそこから皆編の急展開を多少なりとも推測できなかったのなら読み不足だった、というふうに言えるのである(※3)。
※
鉄平関連のことは確かに新情報だが、穴掘りなどは祟編の解答にそのまま繋がるものであり、後に見るような飛躍はほとんどないと言ってよい。
※2
すなわち、必然性や説得力以上に必要な何かがあったと推測することである。ちなみに、全てのゲーム、作品にこのような解釈方法を取っているわけではない。目編までにおいて緻密な精神構造などを描いていると評価していたからこそ、突如として必然性や説得力を放り出すようなマネをすることにも何らかの理由があったと考えたのである。
※3
例えば、皆編直後の公式HPで「罪編の内容でかなり萎えてた」という人の記事を見た。ひぐらしの行く先を罪編の描写からしっかりと読み取っていたという意味で、皆編になってようやく怒り始めた連中と比べればかなり鋭い読みをしていた言える。
一方罪編の情報はと言うと、目編と比べてかなり飛躍のあるものであった。というのも、新情報の性質という点で綿流し当日までは目編とほぼ同じ方向に話が進むが(※)、そのあと例のノートが出てきて一気に方向性が変わるのだ。それまでこの手の話題(UFO、分身、症候群など)は、確かに公式HPでたまに言及する人がいたのではあるが、物語内としては突如クローズアップされた形になっている。
つまり、そこへ至る伏線が弱く唐突に情報が表れるのであり、それを非難するのはまったく妥当な行為であると思う。しかしながら、それと同時に、少なくともそういった転換を罪編自身が明示していたことにも注目しなければならないだろう。表現の意図を読むという観点で言えば、罪編の新情報への伏線の弱さや唐突さは、むしろそれ故にこそ、何らかの必要性ないしは強烈な主張が存在していると考えるのは十分に可能であった(※2)。そして当時の私は、それが「皆編(あるいは真相)の緩衝剤」というものだと推測していたし、現在でもそう思っている。つまり、細かく積み重ねられている目編と、飛躍につぐ飛躍で彩られている皆編との仲介者、あるいは反発が予想される真相そのものに対しての心の準備(?)という罪編の役割が、「飛躍した新情報」を生み出した、ということである。ここで急展開を入れることにより、罪編のコンセプトが目編と大きく異なること。さらに言えばひぐらし全体の方向性・描写がこれから大きく変わっていくことを示し、皆編の衝撃を少しでも和らげようとしたのだろう。
それゆえ、描写のレベル自体を非難することはまったく妥当であるが、新情報の提示方法の必然性を理解できなければ片手落ちであるし、またそこから皆編の急展開を多少なりとも推測できなかったのなら読み不足だった、というふうに言えるのである(※3)。
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鉄平関連のことは確かに新情報だが、穴掘りなどは祟編の解答にそのまま繋がるものであり、後に見るような飛躍はほとんどないと言ってよい。
※2
すなわち、必然性や説得力以上に必要な何かがあったと推測することである。ちなみに、全てのゲーム、作品にこのような解釈方法を取っているわけではない。目編までにおいて緻密な精神構造などを描いていると評価していたからこそ、突如として必然性や説得力を放り出すようなマネをすることにも何らかの理由があったと考えたのである。
※3
例えば、皆編直後の公式HPで「罪編の内容でかなり萎えてた」という人の記事を見た。ひぐらしの行く先を罪編の描写からしっかりと読み取っていたという意味で、皆編になってようやく怒り始めた連中と比べればかなり鋭い読みをしていた言える。
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