昨日は「認知言語学と人工知能」について触れたわけだが、当然いくら翻訳機能が発達してもニュアンスを正確に伝えるものが難しいものは多々ある。
それが例えば、「さてはアンチだなオメー」を原作の煽り感そのままに表現することだったり、あるいは人間の根源的リビドーの表現だったりするわけである。
そして今回の動画は、「君のような勘のいいガキは嫌いだよ」という有名な、あまりにも有名なセリフをどう原作のニュアンスを残しつつ英語に置き換えるかという内容である。
え、こんなのをマジメに説明するってコロナで脳でも湧いたのかこの閑人がって??やはりボーイです・・・例えば、ここで公式訳である「I hate perceptive brats like you.」の説明がなされているが、このperceptiveについて、-tiveがつくと「強調」になるってのは受験とかでも使えるからだ。
自分が受験した頃を思い出してみると、いわゆる「まぎらわしい形容詞」として
〇 imaginary・imaginable・imaginative
〇 sensible・sensitive
なんてのがあった。この時に重要なのは、品詞を決定したり、意味を添える接尾辞(今回の-tiveもその一つ)に注目することだが、そうすると-tive=強調なんだから、imaginativeは「想像力の豊かな」(想像する+強調)となり、sensitiveは「敏感な」(感覚+強調)と論理的に理解できるわけである(こういう話は「アカシックレコード<<<<ネタ」でも書いたが)。
え?respectful・respectable・respectiveはどうなんだって・・・?君のような勘のいいガキは嫌いだよ。これについては、そもそもrespect自体が「尊敬」という意味だけでなく、「(視)点」つまりaspectと類似の意味を持っているので(だからspectが共通やろ?ちなみにこれ、ドラクエⅣで「スペクテット」という一つ目のモンスターがいるのにもつながりマス)、それが強調された結果、視点が沢山ある=「相対的な」という風に理解すればよいのではないかな。
というわけで、ネタのように書かれていることも本質がわかれば色々なものに応用できるって話だが、これは動画に登場するI would say(私ならこういう言うな・・・)という表現にも通じる。というのは、wouldはご存知のようにwillの過去形なわけだが、どうしてここでは過去の訳にならないのだろうか?それは、英語における過去形というのが、ざっくり言えば「距離」を表していて、
1.「現在との距離」=過去
(だから過去形を使うと、現在との不連続性はもちろん、「今は違う」という意味を含意しやすい。これは現在完了形との比較がわかりやすい)
2.「自分の主張との距離」=丁寧
(can youとcould you、want toとwould like to、do you mindとwould you mindなどが典型)
3.「現実との距離」=仮定法
(If I were you, I wouldn' do such a thing.は「もし私があなたなら、そんなことはしないだろう」という今の話になり、過去の話ではない)
といった色々な用法につながるからだ(余談だが、時制のズレによって非現実を表現するのは、want to have p.p.やshould have p.p.などにも見られる現象)。
つまり、ここでI would say・・・と言っているのは、「うーん、私ならこんな感じで言うかなあ」という控えめな表現なのであり、この後登場する南部式英語のオラオラ感とのギャップがまたおもしろかったりするのだ。
そしてこのような、「アグレッシブ&フリーダムに見せかけて、実は細やかな配慮がなされている」という性質は、まさしく桐生ココチャンネルにも通じるものがあると会長の栄誉を称えつつ(笑)、この稿を終えることとしたい。
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