片山杜秀の動画をいくつか紹介したが、天皇(制)に関するものが抜けていたので転載しておく。大日本帝国憲法の時もそうだが、彼の視点が善悪などという曖昧なものではなく、それが拠って立つシステムの必然性や合理性である点に注目したい(もちろん一般的に言うと、「米軍駐留は否定する代わりに重武装する」といったオルタナティブを考える志向を持たなければ、既存のシステムの合理性を説明しながら実はただ現状維持を肯定しているだけになってしまうことがあるので、注意は必要だが)。一方で最後の質問者たちの視点が正義とか善悪に固執したり、あるいは一般か特殊かを等閑視していたりするもので、残念なほどに好対照であったと感じもしたのであった(たとえば自民党から大きく変わると期待されていた民主党政権の時に、たとえば「Trust me」とか言ってた沖縄基地問題は一体どうなったのかといった事実からすれば、思い半ばに過ぎるというものだ)。
私は天皇という存在に全く敬意はないが、それがシステム的にどう有用性があるかは考える価値があると思っている(個人的には「そんなものに拠ることで何かが変わる連中は愚鈍だ」と考えてはいるが、経済的衰退と社会の地盤沈下、そして隣国の台頭の中で、ルサンチマンを溜めた根無し草的な人間たちの暴走のストッパー役に使えるなら、利用価値は十分あるというものだろう)。
ちなみに、芸術というものが単に美しいとか調和が取れてるといったことだけでなく、そこに何かしらのテーマが込められていることがしばしばあるのは言うまでもない(たとえばこのブログでは、以前「ブレダの開城」の話を書いた)。その点で片山が紹介する戦前・戦後の日本音楽の紹介も非常に興味深いので、ぜひ聞いてみてはどうだろうか。
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