かつてロシアが南下政策を採っていたのは不凍港を得るためだった。そしてなぜ不凍港が必要かと言うと、国内で絶対王政を敷くために、あるいは近代化をするために莫大な資金が必要であり、その資金を稼ぐ手段として穀物輸出による外貨獲得が必要だったからだ(すると北の方は収穫期=秋に港が凍ってて話にならんため、黒海→地中海進出と相成ったわけだ。あとはいわゆる東方問題や極東進出、そして日露戦争敗北後のバルカン半島再南下など周知の通りだ)。
そして今、中国もまた南下し、南シナ海への進出を目論んでいる。これは太平洋進出の布石という意味合いはもちろんあるが、領土拡大による国威高揚、そして諸外国との対立によるナショナリズム高揚→政権安定を狙っているものと考えられる(まあロシアの例に限らず、フランスのアルジェリア出兵やメキシコ出兵のごとく、対外進出はしばしば国内政治を意識したものであると言える)。
さて、そうして南シナ海などへ進出してきた中国との緊張が高まっているわけだが、そもそも軍備を整えるどころか「軍隊」が存在するとかしないとか内向きな議論を続けている時点で、リングに上がる前の話である(あれが軍隊でなければ何が「軍隊」なのかよくわからないのだが。というか、それを吉田茂のように外交カードとして使うのならともかく、自分たちがそう思い込んで必死に維持しようとしているのはいささか間抜けである。あまつさえ、自分が手ぶらなら強盗に襲われることがないとでも言うような見解は、現状維持をしようとするがための思考停止に陥っているようにしか見えない。欺瞞の解消は、自衛隊の解散か憲法の改正のどちらかしかないだろう)。とはいえ、何かしらの変化をさせるにしても状態を整えるのには時間がかかるし、そもそも整ったとして、なるだけ戦うのは得策ではないことは言うまでもない。
であるならば、そもそも中国が国外へ目を向ける余裕がなくなるように、中国国内を騒乱状態に持ち込むのが上策ではないか。もちろん、いきなりそんな状態にするのは難しい。チャンスは経済破綻である。多少の不満があろうと景気が良化しているならと安倍政権を支持している人たちがいるように、経済が回っているからと共産党に従っている中間層が、それを契機に(特に)都市部で暴動を起こすことはありえる。それを他国が「人権保護」という題目で支援するのだ。できれば、これと自治区の蜂起が同時多発的に起こるのが望ましい。それについても、「人道的支援」という理由をつけてウイグル・チベット・モンゴルなどの独立運動を援助するのだ。
すると中国はしばらく国内問題に注力せざるを得なくなり、そこには経済破綻もミックスされているわけだから、対外進出がストップするどころか、長期停滞を引き起こせる可能性も少なくない。上手くいけばソ連がCISになった時に生じたように、中国が分裂状態になることもありえるだろう(これは別に新しい発想では全くない。というのも、たとえばアメリカはテキサス併合、ハワイ併合、キューバ独立、イランのクーデター、チリの軍部クーデターなど到るところで同様のことをやってきたし、ロシアがウクライナに対して仕掛けたいわゆる「ハイブリッド戦争」は記憶に新しいところだ)
前述のようにして中国との緊張が高まると、すぐ戦争という連想をする人もいるようだが、ボクシングでたとえるなら、いかにリング上で戦うかを考える前に、そもそも相手がリングに上がれない状態にしてしまえばいいのである(それを「汚い」とか言っているうちは、決してトップにはなれない。国益を考えるならどこまでも冷徹に、自分は極力ダメージが少なく相手がいかに足腰立たない状態に持っていくかを考えるべきである。ちなみに、これが狡猾だと感じる人は、たとえば中国がアフリカなどを媒介にした経済封鎖で台湾の孤立を促進させ、自国に取り込もうしていることなどをそもそも知っているのだろうか?知っているとしたらそれをどう思っているのだろうか?)。
とはいえまあ問題は様々ある。たとえばロシアは自国の自治共和国の独立問題に波及することを恐れ急ぎ事態を収束しようとするだろうし、中央アジアは難民問題や「過激派」の流入を危惧して反発するに違いない。そこをどう折り合いをつけるかは問題だろう。
なお、難民は現在のシリアと同レベルで生じることはないと思うが、日本としては世界の新潮流に乗って日本国内への流入は徹底的にシャットアウトする(そこは批判に晒される覚悟が必要)。朝鮮半島や東南アジアなど東ユーラシア全体で混乱が生じる可能性大だが、そこは目をつぶろう。その余波で台湾は独立し、北朝鮮は崩壊へ。南シナ海はしばしの平穏を取り戻す。なお、この時に旧北朝鮮領=現中国の喉元へ「治安維持のため」という理由でアメリカの核ミサイルが配備できたりするとよい。
最もよい状態は、自治区が独立しつつ、いわゆるChina properも分裂状態になることだ。その場合はどちらか(どれか)を支援し、お互いに消耗させあることができれば得策であろう(国連の常任理事国から外せるとなおよし)。民主化運動というものはリビアのような状態になることも十分考えうるが、それを想定した上で動きましょう。
こうすれば、日本の東アジア、いな世界の中でのプレゼンスは否が応でも高まるし、「右」の人もご満悦(戦って鬱憤を晴らしてやりたいというのが本音のチキンホークには大人しくしておいていただこう)。そして共産党の圧政に苦しんでいた民衆が解放され少数民族も独立できて「左」の方もご満悦(一国平和主義でもあるし!)。まあ真に重要なのはそんなことではなく、今後の世界で生き延びて行く際にそれが戦略的に有効か否かなんだけどもね・・・というわけで自らの国力を疲弊させずどちらの陣営も納得させられる戦略ではないかと考えるが、あなたどう思いますか?
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます