Drive:ムーディ、スタイリッシュ、コントラスト

2015-01-27 12:47:03 | レビュー系

 

考えさせられる映画はともかく、ゾクゾクするような「痺れる映画」に出合ったことがない。しかし今回紹介する「Drive」は、間違いなくその一つとして記憶に残るであろう・・・なんてというと堅苦しい感じに聞こえるかもしれないが、とにかくもう単純に主人公のライアン=ゴズリングがカッコ良すぎる。見た目はいわゆるドイツ代表のクローゼみたいな優男風なんだけど、冷静な判断力と技術、そして強さを兼ね備えた寡黙な仕事人としての佇まいがただもうひたすらにキマっているのである。たとえばOPだけで思わず酔いしれてしまうようなムーディというかスタイリッシュな雰囲気が前面に出ていて、それだけでも見る価値のある映画だと断言する(あとどうでもいい話ですが、ヒロインのキャリー=マリガンが完全に自分の好みにどストライクでした。やっぱショートカット最高w)。

 

ただ、それはきちんと理由がある。というのもこの映画においては、静と動のコントラストが著しいのである。たとえばヒロインと一緒にいる時、主人公はベラベラと喋るどころか長い間沈黙していることが多い。それどころか、彼女との距離のとり方に関して微妙な演出(車のトラブルに手助けするシーンなど)がしばしば見られるほどだ。

 

では、少ないセリフで淡々と最後まで進むのかといえばそうはならない。ある事件をきっかけに、主人公は大きなトラブルに巻き込まれていくのだが、それを契機に人が変わったかのような暴力・死亡シーンがどんどん出てくるのである(ところで、モーテルにおいて主人公が返り値を浴びたシーンは「タクシードライバー」のトラヴィスのように見える。同じ「ドライバー」というのもさることながら、ある意味「悪滅モード」?のスイッチが入った演出として興味がわいた)。その殺し方も、興奮して手に汗握るよりはむしろ、「処刑」のような残酷さを感じさせるものであったりエレベーターシーンのように独特な演出というか捻りが効いていて、非常に印象に残るものとなっている。これに関しては、また喋らないシーンも多いからこそ、暴力シーンが際立つと言うことができるだろう(サソリのジャケットはダテじゃねーな、と感心させられるわけだw)。

 

その他にも、仕事を終えた翌朝(OP直後)のシーンで主人公がいきなり警察の服を着ていて、「ああ、内部事情がわかってるから逃がし屋なんてのもできるのか」と読んだ次の瞬間に映画のスタントマンだったというオチがついたりと、様々な先読みや外しの演出もあって非常におもしろかった。

 

その他演出面など挙げればキリがないが、唯一惜しむらくは、カップルで見るのには向かないくらいか。というのも、あまりに主人公がカッコ良すぎて彼女から「それに比べて自分の隣にいるのは・・・」とため息をつかれるのがオチだからwまあそうなってもしゃーないか、と男でも思わせるくらいに主人公がカッコ良い(諦めがつく)のはいいのか悪いのかw


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