ゆっくり実況と収益剥奪化:抵抗に必要なロジックは?

2019-06-30 12:35:14 | 感想など

 

 

 

 

ゆっくり実況による解説は色々活用させてもらってるので、収益停止が頻発している件には心が痛む。明確にガイドラインがなく、収益化と収益停止を別のシステムで判定している様子のため収益承認→すぐ収益停止といったことすら起こっており、製作者側としてはどうせーっちゅーねんという話だろうが、コメントで運営をディスってても無意味だろう。また、基本が日本語という世界の1/70しか使っていないマイノリティ言語で、さらにその中の一部にのみニーズがある状況では、集団削除ですらどれだけ効果があるのか疑わしいところである。たとえば、英語のコンテンツで人気があるものは再生数が数百万・数千万いっており、文字通りケタが違うから、天下のYouTube(≒Google)にとっては、文句があるなら他のプラットフォームに行ってどうぞ、と切り捨てて終わりだろう。

 

となると、相手を交渉の土俵に乗せるためには、別の手段が必要となるだろう。その一つが「You Tubeノ差別的待遇ヲ非難ス」という集団非難勧告である。たとえばこんな具合に。

 

第三者音声で作られた動画は収益化を認めない、もしくはその収益化に著しく高いハードルが課されるのは差別的である。「ゆっくり実況」を始めとする機械音声が採用されている背景として、顔や声といった個人情報をバラしたくないという切実なニーズがあるのははもちろんだが、屹音のため肉声で話したくない人、もしくは声が出ないため機械音声を利用している人でも動画で自己表現をできるというメリットがある。

つまり多様性の許容のためにも「ゆっくり実況」というシステムは有益であり、その収益化を認めない現状はそもそも黒人は大学入試で低く評価されるのと同様な、あるいはパラリンピックの選手は機械の補助を受けているがゆえにオリンピックの選手より劣るとみなすような、歴とした差別的待遇である。

あまつさえ、作成した作品について「価値がない」とのメールを送り付け、精神的苦痛すら生じせしめている。先の例で言えば、黒人をシステム的に差別する状況について、黒人の犯罪率であったりエグゼクティブの黒人の割合を取り上げ、それを正当化するような言葉を弄するのと変わらず、むしろ積極的に差別に加担しているのではないか、と思えるほどである。会社の運営システムなどでリベラルな価値観を体現してきたGoogleが、このようなシステムを放置するのは理解しがたく、また極めて有害であると評価せざるをえない。

折しも、6月上旬にはYou Tubeのコミュニティガイドラインが改定され、差別的動画の禁止を強化する方針が提示された。我々としては、かかる対応を賛同・称揚するとともに、機械音声による解説が多様性の肯定に繋がる点を理解していただき、方針の転換と新たなシステム構築に貴社が努力することを望むものである。

 

このような「差別」という争点を設ける理由は、ゆっくり実況の問題を、日本のローカルな話から、「多様性のシステム的な否定への非難」というユニバーサルな視点に変えることで、日本以外の国を巻き込むためだ。つまりは、外交における国際法などと同じで、交渉においては、いかに相手が「こちらの期待通りに動かざるをえない状態」にするかが重要なのである(cf.「孫子に学ぶ:合理的・功利的思考とは何か」)。まあ日本ってこれが戦前に限らずメッチャ下手なわけで、提案はしてみたものの実現するかは微妙よねーと思ってはいるが。

 

なーんて提言をgooブログでものしつつ(笑)、この稿を終えることにしたい。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 歴史の溺死(適当) | トップ | 日本版「文化大革命」の始ま... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

感想など」カテゴリの最新記事