先日トランプ白人至上主義者のグループとそれに反対するグループの間で起きた衝突について、「双方に責任がある」として広範囲から非難を浴び、その後でスティーブ=バノンが辞任(実質的な解任とされる)したのは記憶に新しい。二か月ほど前、マクマスターの就任などで共和党本流の人物が閣僚の中で徐々に増えていき、共和党側はトランプという頭は変えずに身体(中身)は旧来の共和党的な運営をさせることでトランプ政権をコントロールしていくことを狙っているのではないか?という予測を紹介したが、まさにその通りになってきているわけだ。
ところでこの事件の由来について、有本香は「風と共に去りぬ」を例に出しつつ、この事件は歴史的なモニュメントや事物そのものを人権側が否定していたことを問題視している。つまりは、「ちびくろサンボ」を機械的に否定・抑圧するような方向性と同じだと言っているわけである。これをただ聞いているとリベラル派のPCがもたらす欺瞞(まさにトランプが支持される原因!)のように思えてしまうかもしれないが、それはどうも怪しいようだ。たとえば次の放送を聞いてみよう。
この話からすれば、「差別の歴史」が否定・隠蔽されているのではなく、「そのような差別の歴史を賞賛する姿勢そのもの」が否定されているである。であれば、今回の反対派の動きを、文芸作品を今日の価値観とそぐわないがゆえに否定するような思考態度になぞらえるのは端的に言って間違っており、もっといえば狡猾なミスリードにすら感じられるものである。有本香が全て間違っているとか町山智浩が全て正しいということではなく、情報の取り上げ方・説明の仕方に関する限り、この案件は後者にかなり信頼が置けそうであると少なくとも私は考えている。
私のような一般人が日々膨大に吐き出されるニュースを丁寧に収集し、裏を取り・・・といったことを行うのはほとんど不可能である(前には、ブライトバート・ニュースとドラッジ・レポートを読みつつニューヨーク・タイムズも読むという木村太郎の話を紹介しはしたが)。とはいえ、少なくともマルチな情報源を持てば、相当程度一つ一つの報道や発言が持っているものを相対化・検証しようとする態度は嫌が応でも身につくことは間違いないだろう。
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