森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

ヤブコウジ(ヤブコウジ科)

2006年11月23日 | 自然観察日記
 「百両」があれば「十両」もある。ヤブコウジをそういうらしい。こちらは庭にはびこってときどき虐めてやらないと我がもの顔もはなはだしい。でも、1~2個の赤い実を葉の下から覗かせている姿は可愛らしい。ましてやこの時期のわびしい気分の時はホッとするものがある。
 そろそろ白いものに覆われる季節になるが、クマ同様冬眠を余儀なくされることがなんとも耐え難い面持ちである。友人がこの秋埼玉の雪の無いところに転居した。昨年の大雪にとうとう耐えかねて老後の安息を求めての決断である。そういう大仕事ができることを羨むとともに雪のない世界を羨んでしまう。
 ところで「一両」というのは何を当てるのだろうか?赤い実を付けるヤブコウジよりもか細いものを俄かに思い浮かべられないで入る。

 こんなメモを見つけた。
『一両(アカモノ)、十両(ヤブコウジ)、百両(カラタチバナ)、千両(センリョウ)、万両(マンリョウ)で、年中お金が「有り通し」(アリドオシ)。』

 そうか!なるほど!ツツジ科のアカモノを「一両」にしている。あるいは、アカネ科のアリドウシを当てるのだそうだ。いい案である。

カラタチバナ(ヤブコウジ科)

2006年11月23日 | 自然観察日記
 年末が近づくにつれて赤く色づいた実をもつ鉢物が目立つようになる。マンリョウ(ヤブコウジ科)やセンリョウ(センリョウ科)をはじめこのカラタチバナも登場する。鉢に植えてたままほとんど世話をしないでもこの時期にちゃんと赤い実を付けてくれているから、お正月のちょっとした飾りに重宝している。こぼれた実が発芽成長もするから、増えることもないが消えることもない。
 ところで、このカラタチバナを「万両」「千両」に対比させて「百両」ということはご存知の方も多いだろう。赤い実を付けたボリュームでの区別のようだが、日本人の心を表した一つの文化的な表現なのだろう。