森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

オクノフウリンウメモドキ

2015年06月18日 | 自然観察日記
モチノキ科の低木で比較的浅い山地に時々見かけていましたが、この個体は20代のころでしょうか魚沼の里山を歩いていた時に見つけて連れてきたものです。幼木でしたが、30~40年たってもせいぜい2m強。全然大きな樹にはなりませんが、少し株立ち状態になってきたでしょうか。当時、雌雄異株とは知らずに持ち帰ったものの雌雄別株と知らされてかなり落胆したものでした。しかしです。この株はしっかりと結実して秋には赤い実をつけます。発芽能力のある種子を作っているのかは分かりませんが、赤い実がけっこうたくさん実ります。しかし、木の下に実生株に気づいたことがありませんから発芽能力がない種子なのかもしれません。
風流な名前で気に入っている種なのですが、なかなか自然界では観る機会がないものです。近県では絶滅危惧種扱いになっているようで県内でも早晩指定される可能性もあるかもしれません。日本海側に生育する種です。

オクノフウリンウメモドキの花

2015年06月18日 | 自然観察日記
普通は5枚の花弁と思いますが、この個体には7枚とか6枚とかの変わり種が多く見られます。このあたりが雌雄異株とされながら種子を結ぶこととの関係があるのか・・などと自己流に解釈しています。そういえば、サルナシも雌雄異株とされる種なのですが、1本で実を結ぶ個体があり先日その個体をいただいたばかりで興味津々で観察をしているところです。図説などで雌雄異株とされながらも実態はそうではないものが意外に多いのかもしれません。研究資料を学んで利用することは大切なことですが、それ以上に実物そのものがより重要です。真実は書にあるのではなく実物にあると諭してくれた先生がいましたね。