森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

クサノオウ

2015年06月22日 | 自然観察日記
過去に何度か取り上げたクサノオウです。「草の王」とはいったいどういう意味だろうと不思議に思っていたことがありますが、切り傷を瘡(クサ)というのだそうで、これによく効く治療薬になるとのこと。それで「瘡(クサ)の王」なんだそうです。ケシ科の草本で傷をつけると黄色の液が出ますが、これが効くのでしょうね。
それはそうと、里山フィールドミュージアムには自生があるのですが、個体数が少なく増殖を試みました。簡単にいくと侮っていたせいか、なかなか増殖がうまくいきません。一年草という認識で発芽すれば生育も簡単と思いきや思いのほか気難しがり屋です。かなり肥沃な場所が必要なのだろうかたかんがえているのですが、この野生の株は砂利が敷かれた片隅にあってどう見ても住みにくそうな場所。大変立派に育っていました。手塩にかけても軟弱な株にしかならないのに、野生下ではこの逞しさ!不思議ですね。何が一因しているのでしょうか?

クサノオウ果実

2015年06月22日 | 自然観察日記
黄色の4弁の花でありこの実の様子からアブラナ科の種に間違われそうですがケシ科の種です。葉の様子や傷をつけると黄色い液が出ることなどから区別できます。果実の形はこの写真はかなり真っ直ぐなのですが、多くのクサノオウの果実はくにゃくにゃと曲がっていることが多くてアブラナ科の果実の真っ直ぐなものとはかなり差があります。
クサノオウは一年草というより越年草の方が分かりが良いかもしれません。秋に発芽した個体が冬を越して春に花を咲かせるという図式です。果実が実った後は本体は枯れることになります。ところで、まだ花をつけずにようやく大きくなりだした株を持っているのですが、これが今後どうなるのかが興味津々。遅ればせながら花芽を作り開花できるのか、そのまま生育するだけで秋には枯れるのか?花芽の形成には光周性が絡んでいるか低温が絡んでいるかですが、もう6月、いづれも厳しい条件です。一年生草本なら秋には枯れるということになるのですが、花を咲かせず枯死することになるのでしょうか?