森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

湯の丸 池の平湿原

2015年07月03日 | 風景
浅間山に続く山塊で三方ケ峰(2040m)がありますが、この直下に池の平湿原があります。ツツジで有名な湯の丸高原に隣接していていますから、「湯の丸」といったほうが場所がイメージしやすいのではないでしょうか。
6月下旬、幾分雨模様の日に湿原を取り巻く尾根と湿原の散策に興じました。越後にはない独特な植物もあり起伏の少ない山道を堪能しました。所々千曲川沿いに連なる家並の遠景も望めるような展望のよい場所もあり、まさに天空の散歩といった風情でした。
この絵は鏡池となづけられた湿原内の最大のビューポイント。人の気配がしない小雨の中、神秘的な風情を醸し出しています。
いろいろな発見がありました。いろいろな植物を観察できました。しばらくは、この地域で観て触れた植物を取り上げてみようと思います。

乾燥化が進む池の平湿原

2015年07月03日 | 自然観察日記
実は、湿原を歩いてササの繁茂の多さに少々がっかりさせられました。ほぼ全面にミヤコザサでしょうか湿原を覆い尽くしています。木道脇はササが刈ってあって、刈った場所になんとかかつて湿原に繁茂していただろう草花が生育しているという状態です。ササを駆除しない限り魅力ある湿原にはなれないのは明白なのですが、この広大な湿原を人為でササ刈などをすることは不可能なこと。また、乾燥して陸化するのも自然現象でもありますから、ササ刈りなど邪道かもしれません。しかし、ササが無くなれば多くの美しい花を咲かせる種が復活することが分かっていますから、どちらが価値があるのかを考えると大規模なササ刈りを行うのも一方なような気もします。大規模なボランティアで湿原再生プロジェクトのようなものが組まれれば蘇りも不可能ではないでしょう。

ササに侵された湿原

2015年07月03日 | 自然観察日記
木道が湿原の縁に作られていています。そのあたりは大きな礫がごろごろしていて長い年月のうちに礫上にさまざまな植物で覆われるようになったようですが、その下の湿地の部分はササがびっしりとはびこっています。ササの地下茎が伸びてこない礫上に避難しているという風情です。

ササの入らない本来の植生(非湿地性部)

2015年07月03日 | 自然観察日記
もともとこの山塊は浅間山などの火山でできた荒原がもとになっている乾性遷移でできてきた植生です。湿原の縁のやや高い場所には火山性の礫などがゴロゴロしていたのか、ガンコウランなどの高山植物で覆われている塊が随所に見られます。しかし、ここにもササの侵入が始まっている場所が多くあっていずれ、この多様性のある塊もササ原に埋没してしまうことになるのでしょうか。