トキワイカリソウは東北から山陰くらいの日本海側多雪地に分布する種です。新潟の里山にはごく普通に自生しています。見本園ですから植栽されたものですが紫色の花がついていたのが目に留まりました。新潟の中越地域で見るトキワイカリソウはすべて白い花です。話には聞いていたものの紫色のトキワイカリソウの存在、初めて見ることができました。
トキワイカリソウは常緑の多年草です。つまり、越冬する葉があること。春は新葉と昨年の葉が同時に見られ、新葉が十分生育したころ古い葉は静かに消えていきます。雪国は冬季湿度が高いのでわずかな晴の時間を使って栄養を作ることができますが、太平洋側は冬季の林床にはたくさんの光が差し込むことができますが極端に乾燥するため地上葉はほとんど消えて地下部で翌春を待つというスタイルをとるのだと思います。イカリソウは太平洋側に生育する種です。
薄いですが紫色のトキワイカリソウの花です。イカリソウとトキワイカリソウが太平洋側と日本海側で綺麗にすみ分けているのなら話は簡単なのですが、新潟の魚沼地域には濃紫色のイカリソウが自生しています。新潟県内の分布調査や研究のまとめた資料がないため判然としませんが、魚沼地域は三国山脈を越えて来たと思われるいくつかの種もありますからその一つと捉えるとなんとなく理由もわかるのです。ずっと昔は三国山脈は無かったか植物が移動しやすい地形だったと考えると面白い世界が広がります。